野良犬(1999.5.25)

野良犬(1999.5.25)


ときたま
毛皮は汚れ
荒んだ野良犬になりたくなる
一人で斜の風体で
路地裏に入り
ごみのにおいのする舗道を歩く

渇いた喉をむき出しにして
うらぶれた板塀のあいだの
ただれた夕日に
融けたくなる

街灯の下
瓶の底に放り投げた
絡んだ5色の紐になって
新しく
より荒んだはらわたを
発生させたくなる

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(ホタルブクロの文字盤(1999.6.1))次頁(バラ(1999.5.18))

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