小道の蛇(1999.6.22)

小道の蛇(1999.6.22)


昨夜はこのあたりは
嵐で
小道には折れた枝が
転がっている
靴で枝を除けながら
初めに歩く

「おや 蛇ですよ」
いつもの坂の
コンクリートの上に
蛇がゆるゆる
這っている

細い川は増水し
いつもは
そのあたりに棲んでいるのだろう
女たちはにこにこ笑っている
僕らを先導するように
蛇は坂を登っていく
下には森を通して水田がわずかに見える
「蛇に出会うと」
「なんか、いいね」

突き当たりのベンチに着くころ
蛇は石垣を水脈のように
藪に降りていく

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(反る板(1999.6.29))次頁(夏の秤(1999.6.15))

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