ある無音(1999.7.20)

ある無音(1999.7.20)


広い駐車場 白い建物のすがた
僕は植え込みの石に座り
夜のたばこを吸う
だれもいない
近くの街の光 隔離された棟
何も考えてはいなかったと思う
ただ 広い平面を見て
たばこを吸う

建物の中については考えない
強いていえば
いま思い出す空のそのへんに
三角錐のかたちを単に
浮かべてみること

1階の舗道に面した部屋にいるひとが
ふと立ち上がった僕を見て
カーテンをゆっくりと閉める

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(気泡(1999.7.27))次頁(口紅型ライター(1999.7.13))

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