凹レンズ(1999.9.7)

凹レンズ(1999.9.7)


男が
矢のように放つのは
女に懸かるのだと書くと
なんだか
女の白いお腹を見ていると
思われるかもしれないが

女は見られる矢印と同じだけ
凹むと書くと
おへそを思い出すかもしれないが

風に女が加える文字は
白いお腹を見られることを
そのまま25度だけ逸らすことによっている
凹むとき そのまま海に入る
男が虹の視線を
しぶきのように腿の上に横切らせるとき

準備している
それがしなやかな
すなわち凹レンズは
つくる
つくる
つくりきる
街は
そのようにしてできる

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(箱(1999.9.14))次頁(枯れ草(1999.8.31))

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