今回訪れた瀋陽では故宮や昭陵の屋根に動物が並んだ装飾が特徴的で、屋根装飾のページとしてまとめてみました。 この動物の形をした屋根装飾は、中国の明・清時代の宮殿や寺院に見られるもので、原型となった装飾は漢の時代の埴輪や宋の時代の絵にも見られますが、清の時代に定形化したと云われます。 先頭に霊鳥に乗った仙人、最後に厳めしいヒゲの龍(旁吻または倉獣という)、その間に神獣(脊獣または走獣という)が数体並びます。この神獣の数は1、3、5、7と建物の格によって違ってきます。これらの飾りは屋根の四隅(隅棟)にあるのに対し、屋根の上の部分(大棟)の両端部には正吻(せいふん)と呼ばれる、旁吻(ぼうふん)よりも大きな尾を巻いた龍が置かれています。四隅の隅棟の下にも龍頭のような飾り(套獣)が見られます。 これらの装飾動物には魔除け、火除けの意味があり、また雨漏防止や套獣は先端を保護する役目も果たしています。 最高10体並ぶ屋根飾り(北京紫禁城にあります)は、先頭から 仙人騎凰、麒麟、鳳凰、獅子、海馬、天馬、押魚、狻猊(サンゲイ)、獬豸(カイチ)、斗牛(トギュウ)、行什と云われていますが、瀋陽の場合は最高7体(仙人を入れると8体)で、後ろの方の順番が少し違うものもあるようです。 |
昭陵(北陵) **世界遺産** | |
昭陵(北陵) 清を建国した太宗ホンタイジと皇后の陵墓 ![]() |
昭陵 入口の屋根 霊鳥に乗った仙人の後ろに3体の神獣 ![]() |
正紅門![]() |
先頭の仙人がいなくて、神獣が3体 (先頭の仙人は取れてなくなったのかもしれません) ![]() |
神功聖徳碑亭![]() |
こちらも先頭の仙人がいなくて、神獣が4体![]() |
ここから昭陵の中心部である方城エリア | |
隆恩門![]() |
こちらも神獣が3体![]() |
隆恩殿![]() |
先頭の仙人がいなくて、神獣が5体![]() |
宝城![]() |
仙人の後ろに神獣が7体(最後は魚の形) このすぐ後ろの墳丘の下にホンタイジと皇后が 眠る重要な建物なので神獣の数が一番多い ![]() |
瀋陽故宮 **世界遺産** | |
崇政殿 ホンタイジの日常の軍務・政務室 ![]() |
仙人の後ろに5体の神獣。昭陵では同じ色でしたが、故宮では交互に色が違っています。![]() |
大政殿 皇帝が式典を行う場所 ![]() |
仙人の後ろに3体の神獣。全て色が違います。 ![]() |
清寧宮 ホンタイジと皇后の宮殿 ![]() |
仙人の後ろに同じ色の5体の神獣![]() |
鳳凰楼![]() |
仙人の後ろに色の違う神獣が3体![]() |
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日本では沖縄のシーサーを連想しますが、これも中国から伝わってきたものと云われています。 何ともユーモラスなこれらの神獣たち、これらは皇帝の地位を表わし、魔除け・日除けの 意味を持ちますが、それぞれに特徴があって興味深い屋根の芸術でした。 |
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