銭湯パラダイス第6回レポート(2000/7/1)

銭湯パラダイス6回目のご報告。12時に三茶のキャロットタワー集合…今日はなんと!ペンキ絵実習だ!若林交差点すぐ近くの富寿の湯 (ふじゅのゆ)へ。ここもでーんと煙突がそびえる伝統銭湯。

絵師は中嶋師。銭湯にサインでナカジマっつーのを見たことがあると思うけど、まさにあのお方っす。東京でペンキ絵師は全部で4人いるらしいっす。

ペンキ絵。あれは、銭湯盛んな時代、絵の下に広告が沢山入っていたわけなんだけど、あの広告料として、サービスでペンキ絵を書いていたのがそもそもの由来。すなわち、本来広告代理店業だったわけっす。今や広告は入らないから、店主が自腹でペンキ絵を書いてもらっているとのこと。だから儲からない銭湯は絵の更新が苦しい。

ナカジマさんは背景広告社に入社、すでに2万枚以上のペンキ絵を書いてきたっつーことっす。職人で口数は少ないけど、威張った ところのない気さくなお方。「30代の頃は一日2つの銭湯書いてたけど、今は仕事がないから年間150くらいかなあ」ということ。なんと!最近は自宅にペンキ絵を書いてくれ、っつーオーダーが多いらしいっす。

ペンキ絵は担当エリアがあるようで、ナカジマさんは世田谷を中心とした、南部方面。同じ銭湯はおなじ絵師が書くっす。で、絵は前の絵の上にいきなり重ねて書いていく。っつーことは、一枚のペンキ絵の下には、前に書いた何枚もの絵が背後にあるっつーことっす。

さて、10時からすでに書いているっつーことで、到着した12時半ごろには、すでに男湯側のエベレストが完成。これから女湯側の富士山に着手。っつーわけで、完成すると男湯エベレスト、女湯富士山っつー珍しい構図になるのであるっす。

写真集 ペンキ絵のできるまで

浴室には数々のペンキ絵道具が置かれている。浴槽の上に板を置いて、この上に脚立を組んで絵を書くのだ。

さあて、最初は空から。空を少し塗ったところで、遠めでアタリをつける。富士山の線を簡単に入れ、やにわに富士山頂を白く塗り始める。あっという間に見事な富士山出現。白い雲が周辺にぺたぺたと書かれていく。

富士山の下は緑の草原。もちろん海の場合もあるけど、これはその日その日で構図を考えていくということ。草原の中に白い ビル群や、ポイントとして、あづま屋があっという間に書き込まれていく。男女の境はなるべく自然なように仕上げる。

全体を大まかに塗り終わる。ここまで約1時間強。すんごいスピードっす。ここで休憩を入れて、さて細部の仕上げへ。

富士山頂に手を入れていく。おおっ!写実的な富士山に変わっていく。なお、ご本人は富士山はしょっちゅう行って見てきているっつーこと。目をつぶっても書けるそうな。

下の方に木を入れていく。ここで、希望者に松を書かせてくれる。本当は松を書くのに10年かかるそうっす。当然あっしも大希望。師匠の書いた松を見ようみまねで同じように書いてみる。おおっ!感激!数人が松を書き入れる。お客さんには悪いような気もするけど、今回書いた人は、この後も自分の作品を見にしょっちゅうこの銭湯にくるだろうから、まあ悪くないんでない? が、あっしは女湯ゆえ見ることが出来ない…(書いたのは女性の方が多かったっす。みんな建築系とか マスコミ系が多かったから、うまいうまい。)

さて、仕上げはナカジマ師みずから、手前に大きな松を書く。これだよなあ、これこれ。この手前の松がアクセントっつーか、ポイントになるんだよなあ。

完成まで約2時間強。こうして、立派な富士山が出来たのだ。今三茶の富寿の湯に行くと、書かれたばっかりの綺麗なペンキ絵を見ることが出来るっす。残念ながら富士山はあっしはよく見れないが、近所の女性の方はぜひどうぞっす。男湯のエベレストも悪くないっすよ。

さて、絵を書いた後は、中村師、町田忍師匠も一緒にみんなで今書いた絵を見ながらご入浴。ここで背景広告社の謎を聞いてみる。今も会社はあるけど、機能はしていないらしいっす。今はナカジマ師はフリー。

富寿の湯レポート

上がった後は、みんなで三茶の居酒屋へ。ここで参加賞としてケロリンキーホルダーが配られる!町田師は睦和の社長と友達で、好意で提供してもらってきたらしいっす。宴会ではもちろんあっしはナカジマ師と町田師の隣に陣取る。正面には2000湯のS氏。さらに隣にも銭湯歴30年のプロが。自宅の風呂は46度でセットしているらしい。いや〜濃い濃い。ハナシめっちゃ濃いっす。

S氏「オレにもライバルがいるんだよなあ、東京?全部行きましたよ、とあっさり言われてしまった…まだ東京全部行ってないのに」オマエら絶対ヘンだぞ。とにかく、銭湯に関して知らないことがない。鍵のメーカーやらカランのメーカーやら…上には上がいるもんだ。

さらに、銭湯に行こう!データ編「銭湯マップ」の裏表紙に、町田師とナカジマ師のサインをいただく。なんと中村師、サービスで富士山と松の絵も書いてくれる。これには大感激。一生の宝物だ!

ギャルもサインを求めて沢山集まってくる。幸せそうなナカジマ師。ギャルに囲まれても、おたくなことを延々と解説する町田師。いや〜、すんごいメンバーっす。

そうこうしているうちに、2次会はナカジマさんの知り合いのところでカラオケ。これが1人1000円ドリンク付っつー格安価格。今度はみんなでカラオケパーティー。中村師は北島三郎をキメる。ううむ、銭湯&サブちゃん。感無量。いつもはカラオケの練習のために、カラオケかけながらペンキ絵を書いているそうっす…町田師は憧れのハワイ航路。もちろん直立不動。今回の仕掛け人、美術館の学芸員のT氏はカラオケはまりまくり。オマエは本当に公務員か〜!でも銭湯好きはなぜかみんな歌がうまい。TBSのプロデューサーも来ていたのだが、 これが松山ちー様そっくりのスキンヘッド。もちろんちー様ソング。かつて本当に局でご対面したらしい。「TBSの松山千春といえば一発でわかるから」だそうっす。しかし全員そうとう遊びなれしている。あっしもギャルに挟まれて極楽極楽。


宴会光景、左が2000湯のS氏

2次会光景、右端も銭湯マニアな方

The Karaoke

っつーわけで、銭湯マニアとしては、メチャクチャたまらない今回の企画だったっす。あーおもしろかった。これでまた明日への銭湯挑戦の意欲がみなぎるぜ!