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【 水滸伝 とは 】 |
『水滸伝』は中国で生まれた長い物語である。 みなさんもご存知の『三国志演義』『西遊記』『金瓶梅』とならんで 中国四大奇書のひとつとされている。 |
【 物 語 】 |
時は12世紀の初頭、中国北宋時代、仁宗皇帝の頃。 竜虎山の伏魔之殿に封印されてあった108の魔王が解き放たれる。 黒煙とともに沸き上がった妖魔達は幾筋もの光となって中国全土に 散らばって行くのであった。 時代は移り、徽宗(きそう)皇帝の頃。 義を重んじる108人の豪傑達が、運命に導かれ梁山泊に集結する。 もと軍人・役人・猟師・漁師・商人・泥棒・鍛冶屋・酒屋・遊び人・地主etc.と、 職業もばらばらな者達が、各々の特技を生かして大活躍。 壮大な中国を舞台に繰り広げられる勇壮で不可思議な物語・・・。 |
【 諸版本〜70回本・100回本・120回本〜について 】 |
『水滸伝』には70回本・100回本・120回本と言われる種類があります。 (150回本まであるって聞いたんですがホント?) もともと講釈師によって語られたこの物語は、1回をひとくぎりとして 語られ、さてさて次回はどうなりますことやら、と締めくくられます。 普通の本で言えば章に当たり、各々には物語の内容を端的に表す題名が ついています。 さて諸版本の違いですが、まず70回本は、108人の豪傑達がいろいろな 変遷を経て梁山泊に集結し、宋朝が差し向けた討伐軍を打ち破るまでの物語。 もともと水滸伝は100回本だったのですが、後半の30回は 「こんなの水滸伝じゃない!」と言って金聖嘆という文学批評家が 切り捨ててしまった版だということです。 でも中国ではこの版が一番好まれているようです。 100回本は討伐軍を数回撃退した後、全員で朝廷に帰順し、 官軍として遼国と方臘(ほうろう)2回の討伐に赴く所まで。 最後の方臘戦では梁山泊の豪傑は次々戦死し、前半の明るい イメージとは打って変わった英雄悲劇譚となります。 120回本は読者(聴衆?)の強い要望により、豪傑達の活躍を付け足した 版だといわれ、帰順後、遼国と方臘討伐に赴く前に田虎と王慶の討伐に 向かう話が加わっています。所々に面白いエピソード(張清と瓊英の話など)も あるのですが、戦いの説明に終始している所も多く、ちょっと退屈な 感じもします。日本では120回本が一番読まれているように思えます。 |
【 残酷な描写について 】 |
中国古典文学にはよくあることですが、この水滸伝にもかなり残酷な 描写が多々見受けられます。そういったものが苦手な方にはあまり おすすめ出来ないです。(ここから先を読むのも止めた方がいいかも(^^;) 首を切ったり頭を叩き割ったりするのは当たり前、平気で人肉は食べるし 戦死した味方の霊を慰める為に血のしたたる敵の心臓をささげたりもします。 (当時の文献によると、そういった風習もあったようで…) 呉用も目的を果たす為なら手段を選ばない所がありますし、 主人公の宋江もいい人のふりしてますが、かなり悪どいことを平気で やってます。(被害者…秦明・朱仝 等) あまり善人の集団だと思って読むのは止めた方がいいですね(^^; |