(1.3.4)耐磁


時計はとてもデリケートな機械です。そして純電子式のデジタル時計を除く 多くの時計は数多くの可動部分をもち、その可動性が精度と密接に関係して います。もしそれらのパーツが磁化するようなことがあれば、相互に吸引力や 反発力を生じて大きな狂いを発生させてしまいます。よって、時計はダイナ ミックスピーカーなどの磁石を利用した製品のそばには置かないことが重要 なのですが、近代的な暮らしの中において磁場を完全に排除するのは実際には かなり困難です。そこで、多少の磁場では磁化されないような機構をもつ時計 が作られるようになりました。これが耐磁時計です。耐磁のアプローチは主と して2つ。一つはパーツに極力非磁性体を使う方法で、もう一つは磁気シールド を用意する方法です。前者のアプローチは多くの耐磁時計に採用されています。 磁気シールドには軟鉄板が用いられるので、重くなるのが難点です。強力な 磁気シールドを有するROLEX MILGAUSSは、1000Oe(エルステッド)の磁界に耐える 時計として有名ですが、現在は残念ながら製造が中止されており、実用性よりも その希少性により価格が上昇しています。なお、我が国では近年、JISにより 耐磁の基準が規定されました。