フェリー後部より竹富方面/95/8/13


那覇へpt.2

8/14曇り

翌朝、眼が覚めるともう沖縄本島が窓越しの海の向こうに横たわって伸びていた。海岸沿いに市街地の建物の群れが見える。大都会だ。入港する那覇新港は市街地の北の外れにあるので、なかなか着かない。一時間近くたってようやく接岸を知らせるアナウンスが入る。9時ちょうど。定刻通りだ。とうとう那覇まで戻ってきてしまった。

ここの港はターミナルに直に接岸せず、埠頭に一度降りる。ターミナルまでの数百メートル、荷物の積み下ろしのリフトカーやトラックがいきかう中、無料の送迎バスで移動する。薄暗いターミナルは地方の駅に夜行で着いたときのようだ。I君は簡単に別れを告げてさっさと行ってしまった。
しばし考えた後、日比君は春海YHに行くことにするという。そこに知り合いが泊っているかもしれないそうだ。私は市内のシモジョーという民宿に行くことにしていたので、ここでお別れということになる。
近くのバス停まで歩く。一帯は港湾地帯で人気もなく車ばかりが通りすぎて行き、寂しい。空が曇っているせいもあるのかもしれない。ターミナルの前には普通のタクシーに混じって白タクがたむろして客引きをしている。なんだかアジアな光景だ。バス停で待っているときも客引きが合い乗りしろと声をかけてくる。値段を聞くがバスのほうが安いので断わる。

程なく那覇の中心地へ行くバスが来た。国道58号線に入ると沿道はビルが建ち並び、交通量が激増する。米軍統治下に作られた幅の広いこの道は、どこか日本離れしている。それにしても、沖縄、と一口にいっても、やはり八重山と本島ではだいぶ違うことを実感する。本島の町中も内地の都市とはかなり異なった、アジア的な魅力があるが、それでも八重山から戻ってくると、とにかく大都市であることに圧倒される。中心地の入り口にあたる泊高橋で日比君は降りて行った。再び一人に戻った私を乗せてバスは国際通りの繁華街へと入って行く。あと1週間沖縄にいるというのに、このとき既に旅が終わったような気がしていた。

つづく

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