麻薬取締りポスター/95/8/13<


那覇へpt.1

8/13晴れのち曇り

買いだしをしたあとタクシーでフェリーの埠頭に移動。歩いても15分程の距離なのだが、沖縄のタクシーは初乗り380円と異様に安いので、ちょっと距離があるとすぐ乗ってしまう。

一応国際航路の埠頭、ということになるせいか、小さいながらも立派なターミナルとなっている。18時出航の有村産業のフェリーはすでに入港していた。船内は予想外に空いている。だだっぴろい2等船室の片隅を確保する。雑魚寝だが、枕と毛布がきれいに並べられて、一人分のスペースを示している。満室になったら鯉のぼりのような人の列が出来上がるのだろう。
室内をみまわし、波照間で一緒だったI君をみつける。日比君と3人で話す。I君は、東京から鹿児島まで、各駅停車を乗り継いで、野宿しながらきたという。一番安全だったのは神社で、沖縄には神社がないので仕方なく民宿に泊ったのだという。また、鹿児島から那覇までは船で来たのだが、鹿児島で一度乗る船を間違えてしまい、大隅半島の方に行ってしまったのが今回の旅行の最大の失敗だったそうだ。帰りは、行きに苦労した分豪華に、ということで鹿児島から寝台特急で帰るそうだ。

話しているうちに出航の時間になる。船はゆっくりと埠頭を離れていく。結局満員にはならなかった。食堂があいたので3人で夕食を食べにいく。
食後は船内をまわってみる。台湾航路の船なので、船内のあちこちに中国語の表示がある。『麻藥絶對禁止!』という警告ポスターや『禁止輸入植物一覧表』も貼ってある。
デッキにでると風が強い。船は石垣の西岸をぐるっとまわって北上していく。今まで離島を結ぶ高速船にばかり乗っていたので、船の速度がかなり遅く感じられる。石垣島はさすがに大きく、そして細長い。なかなか島の北端に辿りつかない。陽がだんだん暮れてくる。灯台の灯りが付く。東シナ海に沈む夕陽を期待していたのだが、空は何時の間にか雲に覆われていた。天気が下り坂なのだろうか。
デッキを回ると反対側でI君が苦しそうな顔をして指笛の練習をしていた。友達への”沖縄土産”にしたいのだという。一緒になって練習する。沖縄の人なら多分誰でもできるんだろうが、なかなかこれが難しい。指をくわえて、息を吐いている内にだんだん気持ち悪くなってくる。通りがかりの高校生位のウチナーンチュの青年が、「指笛、教えましょうか?」と話しかけてくる。こつを教えてくれ、たまに思い出したように鳴るようにはなったが、鳴るときと鳴らないときの差がわからない。彼は人さし指一本で吹いてみせ、去って行った。I君は悔しがっていた。

3人でいろいろと話しているうちに夜も遅くなり、寝ることにする。毛布にくるまる。冷房が効いていて寒いくらいだ。何人か向こうの女性が台湾の新聞を読んでいる。台湾からの人だろうか。

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