AP-1。
正直、自分ではまさか買うとは思いもよらなかった。
だから、今でも細かいスペックは知らない。自分本意で選択するのなら、
夜な夜な、その数値を琥珀の飲み物を氷を鳴らしながらカタログを眺めるのも楽しめただろう。
シャープなラインに、何処となく人間味を覚えるデザイン。
到底凡人では扱い切れない出力。それを補おうとするフレームやサスペンション。
とある方向性を決定づける乗車定員数。
いわゆるスポーツカーだ。 このチョイスは妻によるものなのです。
小学生の頃、僕はスーパーカーブームの洗礼を受けた。
友達間の人気はF社やL社に集中していた。またその選択は時代の趨勢だった。
僕は「大人になったらオレンジ色のP社」と決め込んでいた。
理由は簡単だ。自分が買った模型メイカーのラジコンが、そのモデルだったと云うだけ。
ドイツの酒造メーカー「イェーガーマイスター」のスポンサードを得た鮮やかなカラーリング。
数年前、自宅の新築をする祭、不要な物達の中にそっと「930ターボ」を置いた。
少年の心をしっかり掴んだまま、25年間鎮座していたオレンジ色の車が家から、しばらく不在なった。
車歴。「前は何々乗っていて。。。」と云う車に関する武勇伝は僕にはあまりない。
N社S2000GTをブン回して乗り回した時期もあったが、故障で短命に終わった。
後は、その情熱を全てバイクに注ぎ込んだ。
数年前V社940ターボエステートに乗るようになってやっと自動車が趣味の領域になった。
と云う訳で、かなり遅咲きの4輪デビューです。ドラテクはある訳無い。
フライフィッシュングのダブルハンドは理解できても。。。。
車のヒールアンドトーは未だに解らない(´д`;
ボディー色決定日。僕は一人で焦っていた。
妻は「パールホワイト」の車体に「ベージュ」の内装を決め込んでいた。
しかも、妻は譲る気配など微塵足りともない。これは妻の車なのだから。。。しかし、
僕は30年間近くも「スポーツカーはオレンジ!」とDNAに刷り込みながら生きて来たのだ。
契約書のカラーの欄だけが空欄となり、対峙する時間が果てしなく続く。
捨て切れない「男のロマン」も、もはやこれまで!。。。 残念!と思った刹那、
ディーラー担当者が、急いで持ってきたパンフレットが「NSX」だった。ナイス!
「ニューイモラオレンジパール」。同じプレミアムカラーが眩しく載っていた。
妻の表情が、少しだけ和らいだ気がした。
PS.最近、坂道発進の感覚が蘇ってきました。<僕チン(滝汗)