法務大臣の諮問機関「出入国管理政策懇談会」難民部会
「中間答申」の驚くべき後退
法務省守旧派の巻き返しを許すな!
10月26日付朝日新聞朝刊は、「難民認定手続大幅緩和へ」と題して、法務大臣の諮問機関である「出入国管理政策懇談会」難民部会(横田洋三部会長)の中間答申の内容を速報しました。この記事によると、本中間答申で示されている改革案のラインは以下のようなものだそうです。 ○「60日ルール」を6ヶ月〜1年に延長する 朝日新聞の記事では、この内容はなにか前進であるかのように書かれていますが、これを例えば7月10日に自由民主党が発表した「わが国のとるべき難民対策の基本的な方針」と比較してみましょう。 「60日ルール」は確かに悪名高いルールですが、このルールの問題は、これまで、難民問題にだれも注目してこなかったのをいいことに、たんに難民申請が入国後(または事由発生後)60日以上経ってから行われたということのみを理由に、本来、難民条約の要件に適合していると思われる人を門前払いしてきたというところにあります。問題は「60日」が「180日」になればよいのではなく、定められた期間が過ぎたら、自動的に難民不認定になるという、難民条約に違反した運用を明文で禁止できるかどうかという点にあります。この点、公明党の案は「期間の超過のみを理由とする難民不認定の原則禁止」を明確化しており、この3つの中では最も進歩的であると言えます。本懇談会の「60日ルール見直し」に目を奪われてはいけません。 法務省は、シェンヤン事件から数カ月が経ち、社会の難民に対する注目が薄れてきたころをねらって、自民党案・公明党案など、政府与党の中から示された一定進歩的な案を換骨奪胎し、難民認定の基準を大きく緩和するような表現をしながら、実際には現状の難民排除政策をなるべく維持しようとする、姑息きわまりない手口で現状の固定化をねらっています。私たちの側は、こうした法務省のねらいを見抜き、自らの具体的な案を示すとともに、政府・与党に対して、今回の「中間答申」は巧妙に現状維持をねらったものにすぎないのだ、ということをはっきりと訴えていく必要があります。 |