国立映画アーカイブでは上映企画『返還映画コレクション(4)――文化・ニュース・漫画映画篇』が開催中です。 戦後に民間情報教育局の覚書「非民主的映画の排除」によって上映を禁止されアメリカに接収され1968年の第二次で返還された戦中期の映画の上映企画で、毎回興味深く観てきました [第1回, 第2回, 第3回の鑑賞メモ]。 第3回までは劇映画でしたが、今回は文化・ニュース・漫画映画の特集上映です。
文化映画というのはナチス・ドイツの文化統制における Kulturfilm の訳語に当たるもので、 当時の日本の映画法では「国民精神ノ涵養又ハ国民智能ノ啓培ニ資スルモノニシテ劇映画ニ非ザルモノ」と定義され、短編の教育映画、記録映画などの非劇映画を指していました。 戦中の漫画映画 (アニメーション映画) の多くは文化映画やニュース映画と同じ文脈で制作・上映されたため、今回の「文化・ニュース・漫画映画」という括りとなったということでしょうか。 このような興味もあって、漫画映画 (アニメーション映画) を集めた以下のプログラムを観てきました。
教育というプロパガンダ目的ということもあり、動物キャラクタを使いリアリズムを離れ寓意的に描くものはあれど、全て戦争映画です。 軍部、特に海軍省から提供される潤沢な制作費もあり、アニメーション表現がみるみると進歩するのを興味深く観ましたが、 今までの3回の上映企画『返還映画コレクション』の劇映画篇で観た映画と比較しても直接的にブロパガンダを目的とした内容に、楽しむというには厳しいものがありました。 なるほどこれは劇映画のアニメーション化ではなく、文化映画やニュース映画と同じカテゴリの映画だったのだな、と実感しました。
アニメーション表現の進化という点では、 1930年代の作品では、階調の少ない白黒の絵でキャラクターも当時のアメリカのアニメーションのものを盗用して単純に「敵をやっつける」話を描いています。 後半の特に真珠湾攻撃を題材とした『桃太郎の海鷲』や潜水艦の仕組みの図解して描く場面もある『フクチャンの潛水艦』になると、 マルチプレーン撮影を使い奥行き感のあるグレースケールな画面となり、キャラクターもオリジナルに、実際の兵器や作戦に取材したよりリアルな設定やストーリーなど、完成度の高さに驚かされます。 これらに日本初の長編漫画映画『桃太郎 海の神兵』 (松竹動画研究所, 1945) が続き (といってもこの映画は未見ですが)、 さらに、戦後、日動映画を経て東映動画 [鑑賞メモ] に繋がる (実際、政岡 憲三 など人脈も繋がる) のかと、感慨深いものがありました。