PC処世術>>雑感>>

PC処世術 - 雑感:データに見るアクセス向上術の真贋


 当サイトでは,こちらなどにも書いたように、「サイトの立ち上げからアクセス件数が増加していく過程」について興味を持ってウォッチしてきた(興味ない方には申し訳ない)。世間では“アクセスアップ術”について記された情報の類は氾濫しているようで、多くの方々が熱い視線を注いでいるようだ。そこには「サイトを登録して宣伝しよう」とか「メルマガで告知」とか「検索エンジン対策が重要」とか「相互リンクこそカナメ」だとか、「内容が重要なのだ」等など、どれも重要そうなことが書かれている。
 当サイトではこれらのそれぞれを実施し、その効果の程を実測している。ここでは、筆者が実測したデータを紹介しながらアクセス向上術の真贋に迫ってみたいと思う。(勿論、下記のデータは当サイトローカルな話であり、一般論ではない点お含み置きいただきたい。)

 さて、右の円グラフは当サイトの2004年10月最終週のログ1週間分(約1800件,ロボット及び更新チェッカを除く)のデータから算出した、当サイトへお越し頂いた方々の分布である。「ブックマーク」には、refererのない方,Yahooなどが提供するブックマーク機能,およびアンテナサイトからお越し頂いた方々が含まれている。「関連リンク」は、当サイトにリンクを張って頂いているサイトのうち、テーマが近いところからいらした方々の分である。「サーチエンジン」は、ロボット型検索エンジンからお越し頂いた方々の分だが、10月時点で当サイトは Yahoo! にスパム扱いされていたため、全て Google(およびそのデータを使用しているエンジン) からのアクセスだ。「その他」には、当サイトに直接の関係はないがリンクを張っていただいたものや、掲示板などで紹介された分や、更新告知サイトが含まれている。そして、「登録リンク集」はジャンルを特定しない、所謂ディレクトリ登録サイトからのアクセスである。
 なお、右の図のような割合の関係は、サイトへのアクセス件数が安定した2004年6月頃から大きくは変化していない。

 右の図を見ると、当サイトの場合,ブックマークからいらしている方々によって支えられていることが見て取れる。しかしながら、右の図だけではアクセス件数が増えた過程を読み取るのは容易でないし、果たしてどのアクセス向上術がどれだけ効いているのかもはっきりしない。
 そこで筆者は、「概算歩留り率」を計算してみることにした。これは、「閲覧回数の何%が1日あたり閲覧者数に反映されるか」の概算という値だ。計算方法は次に示すとおりである。

概算歩留率={1日あたり閲覧者数×ブックマークからの割合}/{(1−ブックマークからの割合)×アクセスカウンタの値}

 ブックマークからいらっしゃる方の割合が安定していたと仮定すると、アクセスカウンタが示す値のうち(1−ブックマークからの割合)を掛けた値がそれ以外の方法でいらっしゃった回数を示している。この回数でブックマークからいらっしゃる1日あたりの閲覧者数を割ってやると、お越し頂いた方の何%に再び訪れていただいているかが概算として分かるというわけだ。もちろん、全ての方が毎日いらっしゃるわけではないだろうし、当サイトの内容がつまらないと思って訪問を止める方もおられるとは思うが、そういうものをひっくるめて1日あたりとした上で「概算」を求めるものだ。

 ピンと来にくいかもしれないので、具体的に当サイトの場合どのようになっているかを計算してみよう。2004年10月下旬時点での当サイトへのアクセスは,ReadMe Jによればおよそ 200人/日である。そして、この時点でのカウンタはおよそ4万3千を示していた。そして、ブックマークからいらっしゃる方の割合は,右上図からするとおよそ70%である。
 この値を当てはめて計算してみると、概算歩留率は約1%だったことがわかる。これはつまり、「100回訪問して頂いて,そのうち1人が毎日訪問して下さる」と読めるわけだ。あるいは、100回の訪問に対して数名が数日に一度の訪問をして下さる、とも読める。このおかげで、毎日の閲覧者数はサイトの開設以来微増をつづけて現在の値に至っているというわけだ。

 こうしてみると、世間で言われている「アクセス向上術」がどの程度の重みを持っていたのかが見えてくる。まず,サイトのテーマと関連の薄い「登録リンク/ディレクトリ」の類は(右上図を見れば一目瞭然ではあるが)殆ど役に立たないことが分かる。0.4%ということは、これまでにこうした登録リンク経由で閲覧されたトータルは約170回であり、これによって一日あたりの閲覧者数に貢献して下さった方は1人か2人ということだ。筆者もかなりの数のサイトに登録したのだが、増えたのはスパムメールだけである。
 また、「メールマガジンの効果は一時的」と言われるのも納得だ。例え500回ものアクセスを頂いても、実際に何度も見に来て下さる方は5人程度に留まるということだ。
 これと比較すると、「関連あるサイトとのリンク」は重要度が高かったことが分かる。同様に、検索エンジンも結構な割合を占めているので重要だ。当サイトにいらっしゃる方の多くは、こうした関連サイトとのリンクや検索エンジンからお越し頂いたのが最初だったことになる。
 なお、閲覧回数を増やすだけならばトラフィック・エクスチェンジの類が有効なのだが、これは以前にも書いた通り、歩留率がほぼゼロだ。他人のサイトを閲覧するとは言っても、実は自サイトのカウンタを自分で上げているのと大差なく、全く割に合わないので筆者は近寄らないようにしている。(もちろん、相性の良いサイトもあるかもしれないが)

 そして更に重要なことだが、概算歩留率を左右するのは「サイトの内容」だろうということだ。当サイトでは現在僅か1%程度なのだが、これが更に減れば当サイトへのアクセスを支えている多くの部分を失う勘定だ。当サイトのコンテンツの良し悪しは分からないが、少なくとも効果の薄い宣伝などに時間を費やすよりは、できるだけ他サイトで得難い情報や視点のコンテンツを提供してゆきたいと思う。(13.Nov, 2004)

雑感へ

PC処世術トップページへ