私の読んだ本 2003

                   by A.Tomiya (2004/7/23改訂)
カッコ [ ] 内の日付は私が読んだ日付です.(発行日にあらず!)
白星(☆)の数は独断と偏見によるお勧め度(目安:☆☆☆以上はお勧め). 逆に黒星(★)はお勧めしないことを意味.(某雑誌の映画評に準拠しております.)
言いたい放題に個人的感想を書いております. 気分を害された方(例えば著者の方:-))がいらっしゃればお詫びいたします.(_o_)
なお,2002年12月以前についてはこちらを, 2004年1月以後についてはこちらをご覧下さい.

目次

注:下記リスト中,(*)印を付けたものは,まだコメントを書いておりません.(_ _)
(そのうち,なんとか...)

1.読み物

「火山に魅せられた男たち:噴火予知に命がけで挑む科学者の物語」
「脳とコンピュータはどう違うか〜究極のコンピュータは意識をもつか」(*)
「グズの心理」(*)
「あのころの未来〜星新一の預言」(*)
「宇宙人としての生き方〜アストロバイオロジーへの招待」(*)
「地震と噴火の日本史」(*)
「火山災害〜人と火山の共存をめざして」(*)
「日本人の声」(*)
「化石を掘る」
「三宅島 子どもたちとの365日―秋川での小学校・避難生活の記録 」(*)
「三宅島 島民たちの一年」
「風に立つライオン」
「バカの壁」
「都市動物の生態をさぐる−動物から見た大都会」
「富士を知る」
「記憶力を強くする−最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方」

2.小説

「坊っちゃん」(*)
「[新訳] ピノッキオの冒険」(*)
「リセット」
「燃える氷〜Methane hydrate」
「火山に恋して〜ロマンス」
「夏の朝の成層圏」(*)
「スティル・ライフ」(*)
「真昼のプリニウス」
「南の島のティオ」
「アルジャーノンに花束を」(*)

1.読み物


2.小説

  • 「坊っちゃん」☆☆☆
    夏目漱石著(新潮文庫)[2003/11/17]

  • 「[新訳] ピノッキオの冒険」☆☆
    カルロ・コッローディ著/大岡玲訳(角川文庫)[2003/10/29]

  • 「リセット」☆☆
    北村薫著(新潮文庫)[2003/10/17]
    いわゆる「時と人」シリーズ三部作(スキップ,ターン,リセット)の3作目. 個の命や世代を超えて伝わるもの,がテーマのようである.約33年ごとに大出現する「しし座流星群」が効果的に使われている.戦中・戦後という暗い時代が主な舞台になるため,シリーズの他2作に比べると読み手を選ぶだろう.
    巻末には宮部みゆきとの対談も収録.

  • 「燃える氷〜Methane hydrate」☆☆
    高任和夫著(祥伝社)[2003/7/7]
    燃える氷,すなわちMethane hydrate(メタンハイドレート)とは,メタンと水とが結びついて氷のように固まった物質のこと.高圧・低温な状態でないと安定ではなく,多くは海底の地中に存在すると考えられている.メタンハイドレートは,石油や天然ガス(メタンガス等)に代わる新世代の資源として近年注目されており,特に日本近海に多く埋蔵されていることから,日本国にとってその開発が大いに期待されている.メタンハイドレートを大気圧(安定領域よりも低圧状態)に晒すと,分解してメタンガスを放出し,火を付ければ燃える.これが“燃える氷”と言われる由縁である.
    さて,本書はこのメタンハイドレートを巡る近未来小説である.メタンハイドレートは,資源として有用である一方で,とんでもない大災害を引き起こしかねない厄介物でもある.メタンハイドレートの埋蔵されている場所は,海底地滑りやプレート境界型大地震の頻発域でもあり,そうした地変によってメタンハイドレートが一気に不安定状態になって分解し,大量のメタンガスを放出する恐れがあるというのだ.万一そんなことが起これば,近隣の国に災害をもたらしたり,もっと大規模な場合は地球環境にさえ影響を与える.本書は,このメタンハイドレートを巡って,政府・開発業者・学者・マスコミ等が奔走する.そして,無気味に迫り来る大地震と富士山大噴火の恐れ...
    社会的にはまだマイナーな存在である「メタンハイドレート」に着目したという点が新鮮である.まだ良く分かっていないことは多いものの,現在分かる範囲のこと(荒唐無稽に近いものも含む :-) )は巧みに物語に取り込まれている.一方で,終盤の富士山噴火を巡る部分については,正直蛇足のような感がある.それから,ほぼ同時期 (2002/9) に刊行された災害小説「死都日本」(石黒耀著)の影響が色濃く見えるようだ(本書の刊行は2003/5.ただしオリジナルは2002/2〜2003/2に月刊「小説NON」に「ハイドレート2010」として連載されたもの).特に,各章のタイトルが「蠢動」「避難」「噴火」など簡潔な単語で統一されているところなどは,あまりにもそっくりで笑えてしまった.

  • 「火山に恋して〜ロマンス」☆☆
    スーザン・ソンタグ著(みすず書房)[2003/3/25]
    表紙の派手な噴火の絵は,1799年8月のヴェスヴィオ火山(イタリア)の噴火の様子である.ヴェスヴィオ火山は,本小説の中にたびたび登場し,物語の背景ないし隠喩として描かれている.
    本書の舞台は,1770〜1810年頃のヨーロッパ(特にナポリ)である.ヴェスヴィオ火山に魅せられた英国公使・ハミルトン卿を主軸として物語が展開する. 前半は,フランス革命(1789年)前夜のヨーロッパ,とでもいうべき描写であり,ナポリ国王の奔放なふるまいや,ハミルトン卿の美術品・岩石標本等々の収集にまつわるエピソードが中心となる.ヴェスヴィオ火山の噴火や登山のエピソードも,この前半に集中している. 後半は,フランス革命とナポレオン戦争に翻弄されるヨーロッパの様子が描かれる. ただし主題は,ハミルトン卿[カヴァリエーレ],その妻・エマ[奥方],そしてネルソン提督[英雄],の史上有名な三角関係に置かれている.この関係は今で言う不倫関係に当たるのだが,あまりドロドロした感じの物語にはなっていない.
    とにかく盛り沢山の内容であり,万人が気楽に読める本では到底ない.しかし,読書が好きで,音楽・美術・歴史・火山などにも広く興味のある方にはお勧めしたい. カヴァリエーレのもとには,ゲーテ,サド,といった著名人が訪れるし,モーツァルト,パイジェッロ(声楽の好きな人でないと知らないかも?),さらにはトスカやスカルピア男爵(架空の人物)まで登場するに至っては,オペラファンもにんまりであろう.

  • 「夏の朝の成層圏」☆☆
    池澤夏樹著(中公文庫)[2003/5/30]

  • 「スティル・ライフ」☆☆
    池澤夏樹著(中公文庫)[2003/4/11]

  • 「真昼のプリニウス」
    池澤夏樹著(中公文庫)[2003/2/12]
    「プリニウス」とは,古代ローマ時代の学者の名前である.彼は,ヴェスヴィオ火山(イタリア)の西暦79年大噴火を間近で観察し,そのために命を落としたが,世界初の科学的火山観測記録を残した.このため,このときの噴火のように爆発的に噴煙を上げて軽石を大量に降らせるようなタイプの噴火を,彼の名に因んで「プリニー式噴火」と呼んでいる.
    さて,本書は現代の日本が舞台なのであるが,物語の主人公が「女性火山学者」という特異な設定である.主人公は,近日中に浅間山で重大なことが起こると占い師(易者)に告げられ,ひとり浅間山頂へと登っていく.果たして彼女はプリニウス以上に間近で噴火を見ることになるのか...筋はそんなところであるが,それに絡んでくる様々なエピソードがなかなか興味深い.劇的な展開を期待すると肩透かしを食らうが,読み終えて不思議な読後感は残るだろう.
    ちなみに,私の知り合いにも,浅間山を研究している女性火山学者がいるが,どうもその人がモデルというわけではなさそうであった.:-)

    関連:
    西暦79年にイタリアのヴェスヴィオ火山で起きたプリニー式噴火(小山真人氏@静岡大のページ)

  • 「南の島のティオ」
    池澤夏樹著(文春文庫)[2003/2/4]
    南太平洋に浮かぶ架空の珊瑚礁の島を舞台に,少年ティオの目を通して書かれた不思議な物語. 高校時代に歌った混声合唱組曲「ティオの夜の旅」(池澤夏樹作詩,木下牧子作曲)の世界感がこれで少し分かった.:-)

  • 「アルジャーノンに花束を」☆☆☆
    ダニエル・キイス著(早川書房)[2003/2/15]


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    Created:Jan,29,2003