カッコ [ ] 内の日付は私が読んだ日付です.(発行日にあらず!)
白星(☆)の数は独断と偏見によるお勧め度(目安:☆☆☆以上はお勧め). 逆に黒星(★)はお勧めしないことを意味.(某雑誌の映画評に準拠しております.)
言いたい放題に個人的感想を書いております. 気分を害された方(例えば著者の方:-))がいらっしゃればお詫びいたします.(_o_)
なお,2001年12月以前についてはこちらをご覧下さい.
ちなみに,有珠および三宅島の2000年噴火に関する記述において,「本質物」の特定の経緯に若干の誤解が見られるようだが,そのことで本書の内容が損なわれることは無い.
なお,各噴火における,地質調査所(現・産総研地調)による「本質物」特定の経緯等については,下記のページに解説があるので,ご参考まで:
・有珠2000年噴火について:http://staff.aist.go.jp/a.tomiya/usu/magma2000.html
(あるいは,東宮・他 (2001): 地調研報,など)
・三宅島2000年噴火について:http://staff.aist.go.jp/a.tomiya/miyake.html#suii
(あるいは,宮城・東宮 (2002): 火山,など)
ビール好きが高じて,エンジニアリング会社を退社して「地ビール」会社を作ってしまった著者が,ビールの本当の楽しみ方を紹介する書.本書では,主としてヨーロッパ諸国の,様々な美味しいビールが紹介される.翻って,日本のビール業界は,ラガー/ドライ系ばかりの単一的な味で変化に乏しいものであること,わずか5社の寡占的市場であること,それらの要因としては,諸外国に比べて不当に高いビール酒税や新規参入を阻む様々な障壁の存在が挙げられること,などを指摘する.(日本のビールの酒税が,ヨーロッパ主要国の十数倍以上というとんでもない高額であったとはビックリ仰天であった.)
また,紹介されている「手造りビール」のレシピは,日本では無免許製造が禁じられているとは言え,見ていて楽しいものであった.このほか,ビールの歴史・スタイル・美味しい注ぎ方・栄養学的効用,といった“ビール学”も満載.ドライなビールより味のあるビールが好きな方,地ビールを見つけるとつい飲んでしまう方,これからビールを楽しもうと考えている方,などにお勧め.
関連情報:
ビアライゼ株式会社のホームページ
全国地ビール醸造者協議会(事務局)のホームページ
毎日新聞紹介記事(Mainichi INTERACTIVE)
佐久間充著(岩波新書)[2002/7/29]
千葉県は,日本最大の山砂供給地である.山砂の用途は,海岸の埋め立て,ビルの建材,各種土木工事,と様々であり,いずれも日本の高度成長期を支えた.その一方で,山は無惨に削り取られ,自然は破壊された上,毎日数千台というダンプカーが街道をひっきりなしに通ることによる騒音・振動・粉じん・泥はね・交通事故といった「複合公害」は,「ダンプ公害」として社会問題にもなった(「ダンプ公害」については,佐久間氏の前著「ああダンプ街道」に詳しい).本書は,その後の顛末について書かれた本である.
山砂採取後の荒廃した地に,今何が起こっているか? 何と,そこには産業廃棄物の山(ゴミの山)が出来ているのである.自然を犠牲にしてまで山砂を都会に供給した千葉の里は,その“見返り”として産業廃棄物(産廃)を送りつけられていたわけである.山に産廃を捨てることは,単に景観悪化や悪臭といった問題だけでなく,廃棄物から染み出してくる毒性物質による地下水汚染という問題も引き起こすという.さらに問題なのは,このような産廃処分場はしばしば住民の知らない内に建設が進められていること,もっと悪質な場合は不法投棄が大々的に行なわれていること,である.行政が産廃問題に積極的でなかったことが,事態の悪化を急速に進展させてしまった.本書は,著者自らの取材を中心としつつ,この問題に迫っている.住民側と処分業者側の双方から取材し,それぞれの言い分を量っている点は,前著での取材姿勢と同様である.また,現実問題として,産廃は出続けているのであり,当面は処分場が必要であることも確か.この点については,環境に十分配慮したという「モデル」産廃処分場を紹介することで,一定の解答を与えている.他にも,枯渇しつつある砂利資源を今後どこに求めるべきか,などについてもページが割かれている.
蛇足ながら,本書に出てくる地名のいくつか(e.g., 福増,武士)は,私の卒業した中学校の学区内であり,クラスメートが住んでいた場所であった.自然の豊かだったかの地が,今やゴミの山と化しているとは,読んでいて愕然とするばかりであった...
なお,本書は「1個の文」(複文も含む)を書くための技術に特化している.
これに対し,「文章」を書く(複数の文を構成する)ための技術については,例えば下記のような類書を読むと良い:
「理科系のための英文作法〜文章をなめらかにつなぐ四つの法則」杉原厚吉著(中公新書)
また,論文作成に限らなければ,やはり下記の書を挙げねばなりますまい:
「日本人の英語」「続・日本人の英語」マーク・ピーターセン著(岩波新書)
その後,NHK総合テレビで連続ドラマ化された(2002/11/11〜12/5;15分×16回). しかしこのテレビドラマは,本書を元ネタにしつつも,「独自のストーリー」を展開しているので,まったく別物の作品と思っていた方がよい.個人的には,テレビ版よりも原作(本書)の方がお勧めである.[2002/12/6]
なお,本作の味わいに相通ずると思えるものに,北村薫氏の“時と人”シリーズ(「スキップ」「ターン」「リセット」)があるが,こちらもお勧めである.