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短歌会 フランシーヌの場合
HAPPY TANKA BALLOON

3月8日〜 1997年

西●「家族」てふ言の葉見ればOK印瞼に浮かぶ哀しき絆

中●家族とは 仮のすまいか いつの世も なければ寂しく あれば重たし

宮●正月に 家族で映った 記念写真 似た者同士 ああこわし



西●暗がりで色あせまします青い目にふらんす革命今も美し

中●ふらんすの 歩けし路は 白壁と 核実験の 来世紀かな
中●噛みしめる フランスパンと さざ波は ユトリロ憩う ゆるやかな日々

宮●クラクション 鳴らして嬉し ルノー4 ぶどう畑に ふらんすの風



西●白々と野闇消えゆく雪原に混じり行く恋月うさぎ知る

中●クローンと されぬ身といえ 月うさぎ 遠くにありて 慈しむもの 

宮★風もなき 闇夜に浮かぶ 月うさぎ わが心の鼓(シン) 杵うつ音に



西●覗き居るテレビ画面を虫眼鏡世の中所詮三原色よ  

中●いつからか テレビジョンの 波流れ 耳を澄ますは 宇宙の果て

宮●道具への 愛着消えて いくひさし よくよく見れば 無骨なテレビ



西●うすものの目につき染めしゆふぐれに木蓮の香に響く音(ね)探す
 「今年はアジアンテイストの服が流行るという。オーガンジーのような布に花
  鳥の刺繍がほどこされたものが多くなりそうだ。そういえばそろそろ、薄手の
コートの下にちらつく衣服に涼しげなものが見えるようになった。刺繍はい
い。中国スワトウ地区名産のハンカチーフの刺繍は特に美しい。聞けば3歳あ
たりから始めないと、商品になるレベルの針子にはなれないそうな。14〜
15歳の乙女が一針、一針縫い上げる一枚の布。その小さな四辺形の中から立
ち上がってくるノスタルジックな宇宙観。スワトウはその言葉の響き自体うす
もの」のそれと美しく響き合う。その二つの言葉が響き合いながら作り出す音
を夕暮れの中空に探してみる。

アジアンな香りといえば木蓮か。春は桜の花より木蓮の香を愛でたいものだ。
そういえば私は木蓮の香りに鼻孔をくすぐられると、音を連想しているような
気がする。そのような想起力をもった花は珍しい。音を連想させる香り。きっ
とこれはやはり非常に響きのいいモクレンという言葉自体と関係があるのでは
ないか。
そんなとりとめもないことを考えながら、まもなく春の空に鳴り響きはじめる
ために、蕾の中で熟しつつある木蓮の香りとその香りがもたらす響きと和音を
奏でそうな音のことへと夢想は広がっていく」



中●木蓮は 白い花もち そびえけり おまえだけの 空と言わんか

宮● 花重く 木蓮映ゆる その庭の 主は知るか 白亜紀の頃
    (モクレンの花は、被子植物が誕生した白亜紀のころの姿をとどめてお
  り、花軸(おしべやめしべのある所)が、おしべをとると、その跡に
  らせん状の模様が見られます。これは、裸子植物のマツでも見られ、
  裸子植物の面影をとどめる被子植物なのです。白亜紀は6500万年以上
  前です...で詠める。恐竜が絶滅したあとかなぁ。)
   



西●金は無し力無くてよ歌男蕗の自由と喰われる自由と

中●ひとりづつ 三途の川の 道程に 遠吠え聞くか 歌男ども

宮●歌男 時の流れの 徒然に ただ戯れる 言霊の群れ



西★空つなぎ水つなぎつつ日向(ひむか)行き最も高き木に入るために

中●昼日向 忘れかけてた 風薫る ひろげる両手に ひよどりが啼く

宮● 昼下がり ゆらぐ陽炎 菜の花に ボラボラたどる 日向の川辺



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