短歌会 フランシーヌの場合
HAPPY TANKA BALLOON
3月29日〜 1997年
西●夜半聞く激しき雨足夢にまで深く降り込み芝生は育つ
山●荒川の 堰(せき)にて聞きし オカリナの 芝生に響く 異境の香り
宮● 水撒いて 芝生と戯る 昼下がり 我が虹知らず 鳴くキリギリス
西●季に迷ふ鶯の森に通り雨筍土割る音に春映ゆ
山●通り雨 気分次第の 道程を ついて行きたし 春の宵なら
宮● 忘我の日 刹那に過ぐる 通り雨 アスファルトに 面影を探す
西●櫻花夢に契れば舞ひ舞ひてどこからなりや獣の匂ひ
山●我が眠り 太古の夢の中に融け 獣の心を 研ぎ澄まさんと
宮● 冬も末 群れ咲き並ぶ 福寿草 食えぬ姿に 獣のあくび
西●空覆う彗星夜空に住むゆえにすべては恋と懼るるなをとめ
山●彗星に 吼える獣よ 我身にて 輪廻の先に 出会う夜もあり
山●浮かれ出た 桜の宵に 彗星よ ヘールボップと名付けられ
宮● その路は 質量の摩訶 不思議とな 己が意志を 持たぬ彗星
西●白布にゆるゆる黒き紙魚育ち若きかの友逝きたまひけり
山●グローブの香りをかぎし 遠き日は 紙魚(しみ)に食われた記憶のかけら
宮●唯一の 生態系か 古本の 紙魚こそ知れる 文字の宇宙
西●寒さ残る君の唇薄きゆえ花びら置いてぬくもり伝えぬ
山●空おおう 薄桃色の 花びらの 光に映えて 微笑む人
宮●役果たし 雨水に流れる 花びらを 集めてごみ箱 掃除のオバサン
西●春見えね四阿暗う請ふ妹よ春告げ魚となる湯浴みせむ
山●桜散り 襖の奥の 京都にて 春告げ魚 そばに盛るとき
宮●海明かり 白き手かざす 君の背に 春告げ魚 姿見せよかし
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