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短歌会 フランシーヌの場合
HAPPY TANKA BALLOON

4月5日〜 1997年

西●櫻花散り敷く柔和な並木道けがれたわが足散歩にあたわず

山●散歩道 桜色にて 蛙の子 足をしのばせ 一歩二歩

宮● 夕陽追い 河辺の散歩 徒然に 踏跡辿る 右に左に

ひ●うつせみを うけて流れる この川は 遠き海へと 散歩するかな



西●橡の実の音に止まりしあの夜よ一万数へ春の雹降る            

宮● 地を叩き 雹の音(ね)せわし 春始め 雷(いかずち)知らぬ 恍惚の二人

山●時なくて 雨とはならず 雹となり 雷(いかずち)のなか 風に散る花

ひ●農夫さり 返されし土 つかのまの 緑いだきて 雹をまつなり
開発が進み、休耕田となって雑草にまみれる。 土は、そんなつかの間だけ、人の手から開放され自分に戻る。 幾億の生命を生み育てた自分の記憶を取り戻す。 運が、良ければ、駐車場のコンクリートの下に封じ込められる前に 雹に出会う、攻撃的で、悪意を持たぬ大気の意志に。 遠く、太古に引き離された、大気と大地のつかの間の再会ですか。

<宮殿 トチについて>
森に住むアカネズミにとって、トチ、クリ、コナラと並べられて、ト チは一番後回しになる木の実です。トチにはサポニンというのが含 まれていて、アクを抜いてこそおいしい食べ物になります。しかし、 これを逆手にとったのが人間で、トチの実は放っておいても野生動物 に食い荒らされないので、まとまったときに一括して収穫できるとい う便利な樹種なのです。それにいち早く注目したのが縄文人で、貝塚 などの集落跡地の周辺にある橡林は、自然林のように見えて、実は戦 略的な食糧採取源として意図的に残されていたとされています。



西●傘持たぬ蛮の齢に春雷やせめていかづちこの手を貫(とう)らね

山●ひと雨が 命をとかす 水となり 春雷の声 世界を祝す

宮●春雷に 先立つ風に 頬打たれ はやる心を 静めるな

ひ●迷宮を 迷うプラズマ 春雷の のみを振るいて 雲を割るかな



西●さてなどとひとりごちるも多くなり更けゆく世紀玉簾ごと

山●迷い無き 旅する鳥の 啼き過ぎる さては笑うか つきぬ悩みを

宮●歳も歳 チェンジコートの 25秒 口つく さてを はたと呑み込み

ひ●うららかな 春の日またぎ 空を見る ひとひら舞いし さてさてゆくか



西●夜毎啼く心の鴉の墨色はかの日目撃ちし黒光の名残や

山●とり乱す 暇もないまま 別れゆく 名残覚える 手のやわらかさ

宮●部屋掃除 ふと気づきたる 長き髪 しなる名残に しばし戯れ

ひ●すれちがい 口の名残の この香り にがくひろがり 甘くとろかす



 






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