BEFORE
NEXT

短歌会 フランシーヌの場合
HAPPY TANKA BALLOON

4月12日〜 1997年



右の手を 軽く差し入れ 覗き見る 暖簾はさみて 主と私

  



西● 肩寄せて吐息も近き芝居小屋わざをぎが問ひ汝が心音に
 (*わざをぎは「俳優」の古語)

山●いつもなら 一人芝居の 悲しさよ けれど試さむ 晴れる日もあり

宮● 待ちわびた 君前にして 思慮もなく 芝居にならぬ ゾーンの直中

ひ●まごうなき 姿を映す この鏡 芝居がかりし 日々を問うな

西● 腕押しの暖簾探して春の宵銀行員のやうに歩まむ

山●声あがり 煙もあがる 路地の宵 気もそぞろに 暖簾が揺れる  

宮● 夕げ前 ゆれる暖簾に からむ湯気 ちょっとと呼ばれ はいはいと照れ

ひ●右の手を 軽く差し入れ 覗き見る 暖簾はさみて 主と私  



西●変節に鉄とガラスをガイドとし強さと老朽弱さと永遠

山●沖縄の 戦の跡で 汗をふき 翁のガイドの さする墓見ゆ 

宮●移りゆく 万世に響く ガイドレス 依るべきは君 想う魂

ひ●暮れ沈み 夜のとばりに 眼を閉じる 映りし君は 今宵のガイド

西●重力をものともせずに天高くキリン聳ゆる今日こそ良き日

山●干ばつの 大地に首を 垂れにける キリン見るのは 地球の明日か

宮● キリンたち 地平に群立ち のびのびと 首振る影に 来光を識る

ひ●喧騒も 夜の闇へと 溶け散りて 降り立つキリン 伝説の獣

西●百年の時を隔てた笑顔あり写真が伝うモンスーンの地

山●写真撮る 少女はどこへ 向かうのか ダイブするのは 時間のはざま

宮● たいせつな 写真を撮れと いう君に 100mの ダッシュを強いる

ひ●過ぎし日の 思いも忘れ ただ見れば まこと写すか あせし写真

山●便箋を 片手に君は たたずんで 切手を舐める しぐさ戸惑い

宮● 大掃除 埃塗れの 切手帳 幼き頃の 我に戸惑う

ひ●旅先の 名も無き宿で 文を書く 切手貼れども 宛人知らず







Eメールの宛先はこちらまで



短歌会 表紙にもどる




FUZ HOMEPAGEにもどる