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短歌会 フランシーヌの会
HAPPY TANKA BALLOON

4月26日〜 1997年

ゴールデンウィークのため若干変則ぎみ
■頭

西●タカラガイ二つ拾ひて空を見ゆ頭の中を千年よ疾(と)く

山●頭撃つ 腰のうねりと あやうさに ポリリズムの海 泳ぎきる時

宮● 片足で 頭の位置を 少しずつ 右に左に 今日の始まり

ひ●立ち止まり 街のガラスは 姿見と 頭、後手 夜に媚び売る



■目

西●雲遊び流るる者の住まいたる汝が目に入れば須弥山(しゅみせん)弛む

  *注:西→須弥山。仏教でいう無限に並ぶ大きさを持ち世界の中心に
     聳えるという山です。

山●ベールの目 微笑ひかり 香りたち とどめるすべなき 時のみ恨む

宮● 君の目に 見とれ固まる 我いさめ すべるジョークに タバコの煙

ひ●またたいた空白がキラリ浮き沈み 獲物見逃し 我が目ほころぶ
ひ●雑踏を 巧みに抜ける アメジスト 2石輝き 夢を追う目か



■鼻

西●午前二時合わせ鏡にただ二人二つの鼻のおかしみを恋う

山●消す惜しさ 香は靄になり ほくそえむ 鼻孔ふるわす 君の記憶は

宮● 鼻と鼻 こすりあわせて チョーセッキン 五感で求む 見えぬながらに

ひ●ただひとり 流れるホームに 立つ女 送るその手は 鼻ゆきまつげ



■口

西●紫陽花の蕾を待ちて金平糖口にころがす君がいる四月

山●踊り子の 口紅のみを 見つめいる 艶の満ち引き 一息ごとに

宮●無防備に 口をあはせる つかの間と 指からめたる 記憶の余韻

ひ●口すぼめ とぼける吐息 ほほ照らす うつろう薄紅 昼顔の花



■足

西●窮屈な靴に赤らむ小指まで皐月待ちつつあと十五分

山●足のみを 荷物としたし 日々なれば 一歩出しても 業にはまりて

宮● 蚊がいると はしゃいで逃げる 君素足 なにやら心 弾みにけり

ひ●つま先に わずかに掛かる サンダルが かすかに揺れる 素足のモビール



■手

西●藤の花ほころび始む棚蔭に光受け手よ融け出ずる手よ

山●手水して 狐に願いを 託す時 穴を覗いて 岩を抱きしめ

宮● 闇探る 我手を胸に 導きて 君弄ぶ 手のひらの瘤

ひ●もの憂げに 遊ぶ手指は 白くして 真紅の爪が 映す夕暮れ



■へそ

西●「二カ所だけあなたが居てもいいところ。人恋ひの闇疼く耳とへそ」

山●幾世にも へそを伝って 遺伝子の 旅は今ここ 我が身なり

宮● 雷鳴に へそを案じて さする我 見とめ微笑む 君にかなわず

ひ●指先で 視線たぐりて 消す灯かり かかりし淵の 真白きへそよ



<ブランコ>

西●酔うてまだ。里の蜻蛉の千の眼よ入り行くを待て吾れはフラココ

山●飽きもせず 揺られて揺れる ブランコの 地球にまたがり 菖蒲湯に入る

宮● 身を縮め 座るブランコ 漕がずとも 揺れて嬉しき くたびれた身に

ひ●麻綱を 押さえて止めた ブランコを わずかに揺らす 脈打つ心



<すべり台>

西●「落ちましょう」言より早く手を取りて出口なくてよすべり台の夜

山●風の子ら ザラつく錆の すべり台 通って今は 何処に落ちる 

宮● 勇み行き プールで遊ぶ すべり台 尻が破れて 手添え逃げ去る

ひ●昼休み 子供の居ない この街に すべり台一つ 誰のためにか



<鉄棒>

西●鞭のやう激しく撓る鉄棒に触れる動悸は大地に逃げむ

山●街灯の ポニーテールの 揺れる闇 鉄棒、友に 独り戯れ

宮● 握る手に 夜露浮いたる 鉄棒の 向こうの君に 捧ぐ蹴上がり

ひ●天と地と 逆さに見た日 今遠く 故郷はるかに 在りし鉄棒


<番外>

西●「君」といふことのは遊ぶ君見あぐ吾に気味なし「キミ」と呼ぶきみ






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