短歌会 フランシーヌの会
HAPPY TANKA BALLOON
5月19日〜 1997年
【待ち合せ でイック】
西●砂落つも甘露の蕾膨らみて来ぬも来ざるもただ待ち合わせ
山●夜明かしで踊り子号の待ち合わせ浴衣気分で君を待ちつつ
山●あやつりの人形のごと漂える人の身思はば糸にも頼えり
宮● 待ち合せ 我肩はたく 君笑顔 今日はかますか 横抱きダッシュ(奪取)
ひ●5分前 つかのまの頃 まち流し 想いあわせる まちあわせの宵
【人形 でイック】
西●「ひとがたと書くのね」と君呟けば呼吸(いき)もそぞろにかき抱く人形
山●日曜のすることのないひとときをからめて遊ぶ指人形
宮● 人形に 重ねて想う 君の顔 表情読めず じれる大脳
ひ●琥珀鏡 女を映し 虚ろわす 珈琲すすめ 人形語る
【文様 でイック】
西●ケルトにて文字の神話の文様が編まれしことあり寒の手紙よ
(ケルトの文様(文様博物館から引用)
ケルト人達は、非常に古い時代から固有の装飾法を持っていた。
その起源は、キリスト教がアイルランドに伝えられるよりも以前に溯る。
...
ケルトあるいはアイルランドの最も古い書物では、
はじめの大きな頭文字を目立たせている。
その頭文字は、赤の点描で描かれた編み模様に囲まれている。
それはやがて組み格子文様へと発展し、
その応用に際しケルト人達は驚くほどの多様性を見せた。
この文様は、文字の装飾のためもしくは、
各ページを縁取るためだけに使われ、蛇や鳥、犬、
想像上の動物の手足や胴体などがモチーフとなった。)
山●波の影静かに進む背泳ぎにゆらぐ水こそ君の文様
宮● 一葉に 謝意を綴りつ 君添える 薄き文様 はばたく鶴と
ひ●白い花 紅い香りの 無垢の花 白目にまとう 紅の文様
【羽根 でイック】
西●やはき背に羽根の記憶を持つ乙女肌は緑の風を孕むよ
山●白い羽根背に生え君に会いにいく空中浮遊の夢の朝
宮● 透きとおる 君のまぶたを なぞるゆび ゆだねる心の 羽根となれかし
ひ●羽根を読む 飛び来た空の 物語 越えし山々 渡りし大海
【韓国 でイック】
西●夜も更けた茶店にハチドリ囀りて汲めども尽きず韓国(からくに)の水
宮● ああ中田 風穴開けろ この日本 負けてばかりの 韓国戦に
山●死ぬまでに必ずもいちどいつか会う「アニキ」と呼んだ韓国の友
ひ●チマチョゴリ キムチに焼肉 湯島の夜 我が韓国は 盛り場にあり
■<昨日 蛙を拾って詠む>
山●長雨の通りがかりのひき蛙手持ちサイズを飼うこととする
西●今日はさざ波恋しき故に蛙の足を熟慮の昼前
ひ●もずくだよ いやところてん 手に取れば 蛙の寒天 命の数珠よ
宮● 夏熟れて 命奏でる 大合唱 寝込みの蛙 起き掛けの蝉
■ゴール
西●雲多き日の青空をゴールとしこの路地の果てに補助線を曳く
山●時止めるゴールを揺らすアーティスト球の軌跡はヴィーナスライン
宮● ゴール前 飛び交う光陰 叫ぶ声 真空となり 伝説を生む
ひ●ゴール前 遮る奴の プライドに 敬意を払って 1点ゲット!
【寿司 でイック】
西●シャリ崩れ寿司持つ指を持て余す君の足へと膝を絡める
宮● 駆け込んだ 寿司屋で君と 冷酒きめ 刹那重ねる 夜の帳へ
山●光るトロ太平洋の荒波を渡って寿司屋のカウンターとは
山●江戸前の暖簾くぐれば板前の踊る手と口寿司屋のリズム
ひ●水族館 これがイカだと 指す父に 納得ゆかぬ すし屋の童子
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