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短歌会 フランシーヌの会
HAPPY TANKA BALLOON

6月9日〜 1997年

■番外

山●うぐいすの囀り聞いた昼下がり眼鏡を置いて風吹くを待つ

山●蒲公英(たんぽぽ)の雪のひとひら舞い浮かぶ行く先知れぬままもいいかと

山●花の名を聞いてほころぶ人となり誰彼となくこころ煩う



■図鑑

宮●図鑑にて 知覚の掟 鋳型とし 記憶の襞に 影を投じる

西●家出する意気地なくてよ少年は図鑑を開き雲を占う

ひ●埋められた 東の都 この海は 人知と社会 汚染の図鑑

山●図鑑にて選べるならば今度こそ海に生まれて底に沈まん



■放物線

宮●競い合う 湯バリを壁に 放物線 あの時固く なること知りなば

西●へろへろと力無く墜つ放物線せめて激しく微分してみろ

ひ●血を抱くつばが引き落ちうなだれる闇をからめる放物線よ

山●ゆるやかに海に落ちてく断崖の放物線に心の動く



【菖蒲 でイック】

宮●五月雨れて 寄り添う影に 一つ傘 霞み暮る沼 菖蒲立ち濡れ

ひ●雨に濡れ路肩に座る石地蔵紫煙り立つ花菖蒲

西●菖蒲湯や神祝ぎの夏を待ちながら男の子(おのこ)の傷を孵す熱さよ

山●一列の花菖蒲の紫が境を越える光とひかり



■あじさい 紫陽花

宮●あじさいの 花房撫でて 滴とり いやがる君に 梅雨の賜物

ひ●色を汲み 歩みを映す 花淡く 時の重ねを 紫陽花語る

西●鳩の尾が空に嗤ひを連れ立ちて額紫陽花の銀河は流る

山●紫陽花の色さえ知らぬ少年の歌さえ詠む日を知らぬ月日に



■父の日

西●父となり父の日が来る居心地の悪さを如何に自涜の十代

ひ●子を思い 親思う日に 暮れなずみ 沈む夕日に 父の日歌う

宮●そろそろな お前の番だと いわれても まるで元気な 日本の六十路



【黄 でイック】

宮●北欧の 黄色すがしい 秋空に サウナに火照る 両手を投げる

西●黄道を追うて巡れる向日葵の偵潔知るためレンズを磨く

ひ●ぐるぐるにきいろくろくろまっかっか羽の童子はピカソの空に






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