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短歌会 フランシーヌの会
HAPPY TANKA BALLOON

6月16日〜 1997年

■子供で一句

黒●虫発見! 地面ふみつけ 飛ぶ子供 ふりかえる君と 歩みを広げる

黒●おやつ食べ 空き箱を手に 叫ぶ巨匠 子供が刻む 宇宙の時計

西●蟷螂の子ども幾百這いいづる魔法の小箱見失いしも   (蟷螂:かまきり)


西●早稲の田に瞳染め抜く光あり実れる国のたれがし子ども

宮●堂々と 我屍を 踏み越えよ 子どもの手曳く 盆の坂道

山●いま一度あの日不思議の子どもの目 我失いしそのまなざしを



西●腰溜めの眼差しに揺れる朝顔もうなだれ始む腰痛の午後



■アラブで一句

宮●ABC 知らずに一路 タイランド アラブのオッサン 空を飛ぶ

山●祈りありアラブの砂漠あやかしの目にあるひかり我より遠く

黒●アラブの客 店員2人にわからぬ言葉 なじみの客が 「SUGAR」と訳し

西●アラブ種の馬の尻を眺めおるパドックに流れよ真黒き液体

ひ●砂漠喰うアラブの少年血の混じる琥珀の小便浴びて行く日々

実にアラブらしい。渇いた砂漠で、 ラクダ飼いの少年がその尿で顔を洗う日々。 尿に混じった血が、物語ますなぁ。(宮殿評)



■琥珀

宮●裸子植物 トロリ流れて 石となり 琥珀の息吹き ジュラ紀を秘め

黒●陽とともに 地球半周走りきる 琥珀飲み干し 空に目をやり

西●種子として伝へることなどありはせぬ琥珀の闇に君を抱くエチカ

山●夏の日は琥珀色におぼれたい海と太陽、波とあなたと



■自然

西●「光あれ!」白々と風、嘯く(うそぶく)よ無庇なものなき自然に君抱き

ひ●トイレ無き美しき街ただ探す茂りた空地自然が呼ぶと

山●棺桶を花火でもって打ち上げて煙となりて自然にもどらん

宮●マサイ族 牛の尾切りて ハエ叩き 効かぬとみるや 捨て去る自然


東部アフリカのケニアとタンザニアにまたがって生きる遊牧民のマサイ族が、 ハエなどの虫をうるさがり、飼っている牛の尾っぽを切り取り、 ハエ叩きよろしく振り回して追い払おうとしましたが、 効き目がないとみるや、ポイッと捨てた有り様は、 とても自然なものだと...、で詠める。



■アルマーニで1句

黒●寝静まる 女の寝息 消す明かり うなだれ溜息 アルマーニたたみ

山●唐突にあなたが選んだアルマーニ 今日はなにか決めてきたのね

西●「アルマーニそんなに高くはあるまいに」という見出しを載せた雑誌あり

ひ●アルマーニ箪笥を覗けどあるはずもなくせいぜい買えるはそのパンツ?

宮●アルマーニ ペシッと値札を はじき去る あの頃笑い 揃いのバンダナ



■ゴシック

宮●首が凝る 天井見上げ はあ〜あのあ ゴシック建築 カエルの親子

山●「どうしたの!」ゴシック体の声で問う 君が夜明けのドアをふさぎて

ひ●気まぐれに入った街で夜迎えゴシック酒屋、主の笑い

西●宗教歌真綿で包むゴシックの隅に蹲(つくば)ふ小悪魔の耳






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