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短歌会 フランシーヌの会
HAPPY TANKA BALLOON

6月30日〜 1997年



羊飼い白き羊の夢を見て黒き羊を追い守りし初夏   



■初夏

西●海風が暴々よぎる遊技場に恋と団欒気も止めぬ初夏

黒●水色の グラスを持ってた あの娘の手 未だ消えない 初夏の思い出

黒●ビールさし ぬるくなるたび グラス空け 初夏の気温は 程良く暑し

山●初夏の君慣れぬ日射しに赤くなり ビールと紅で厚化粧

ひ●羊飼い白き羊の夢を見て黒き羊を追い守りし初夏



■ほおずき

山●祭りの夜二人の道は千鳥足 君の瞳に揺れるホオズキ

西●おそらくは鳴ることもなき幾万のほおずきの赤充ちる闇

黒●露店咲く 声張り上げだす裸電球 今日の終わりに ほおずき夕映え

ひ●ほおずきを幾千敷いたこの原の沸き立つ霞に色溶けにじむ



■火山

ひ●夜見つめ届かぬ声に耳澄まし手を胸に置き死火山醒ます

西●活火山死火山火口休火山マグマ走れる國で恋せり

山●地球の臍なる島と結ばれし火山の煙大地ののろし



■墓碑銘

ひ●赤染めの深き墓碑銘雨に濡れ指先辿る今日の命よ

御嶽山にうちの祖父母の慰霊碑があるんですけど、 皆生きている間に立てるんですよ。 その人が生きている間は、彫られた戒名に赤い塗料が塗ってあります。 死ぬと剥がす、というか、 自然に剥げた頃にその人は亡くなるんですよ、きっと。

黒●死者の群 諸行無常はどこですか? 矢印の先に 墓碑銘品評会 

山●嬉しくも悲しくもある日々辿り 墓碑銘なぞる指のつめたさ

西●墓碑銘も持たぬ路傍の石として花に惑える吾であらまほし



■番外

黒●暑い暑い、しばらく雨が降らないなんて 天気予報士 屋内スタジオ


■熱帯夜

西●こめかみに汗伝ふほどの閑けさや輪郭欠けゆく目の熱帯夜

ひ●暑くても出るに出られぬ部屋に住む孤独な亀に熱帯夜くる

黒●褐色の 左手サンダル 右ビール 人肌の歩道 行く熱帯夜

山●汗ふけど眠れぬ君と夜語りの 熱帯夜の闇ステージとなり






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