短歌会 フランシーヌの会
HAPPY TANKA BALLOON
7月7日〜7月20日 1997年 2週分
■プール
黒●ビジネスマン プール開きの その朝に 水着を鞄の中入れ出社
西●生ぬるき水に素足を沈めれば木霊の消えぬ生者のプール
山●ひぐらしとプールの響き夏の声 カルキの香り髪になびかせ
山●白布のプールサイドのデッキチェア 夏の初心者 白きシャツ脱ぐ
ひ●日差し透く真昼のプール湧水の冷たく洗う真白き素足
■七夕
ひ●夕暮れに 会えぬ人見て 行く旅路 繰り返される 七夕の夜
西●逢ふことと逢はぬこととの密やかに笹も時雨る七夕の雨
黒●「七夕」を タナバタと読む この国の 子供の願いは 中学合格
山●七夕の雨の闇にてかき抱く織姫となる君の短冊
■枝豆
西●横道へ跳ねたる枝豆投げ首の持て余し顔で誘う唇
黒●母親の 茹でる枝豆 盗み食い 野球中継 王ホームラン
山●枝豆を取る手止まらずボクの手をつまんで照れる熱帯夜の君
ひ●枝豆に隠れて眠る芋虫を舌で見つけて知らぬふりの日
■週末
西●ポルナレフ歌う週末空高く 少年の恋昼頃暑し
山●週末に取り戻そうとするけれど 儚(はかな)い休日雨に煙りて
ひ●週末に見る夕暮れに飛ぶトンビ赤い輪が描く明日の太陽
■まねき猫
ひ●まねきねこ外見て招く幸いの商家の栄明日も再び
西●顔色も仕草も場所も変わらない招き猫おる妾の玄関
■猛暑
西●陽炎か文明揺らいで気化し行く 猛暑の激しさ酒のしつこさ
ひ●照り返す路面の熱さ額焼く猛暑の街を揺らす陽炎
■セロリ
ひ●セロリ噛み覗く朝の日明けきらず香味が洗う今日の始まり
山●しっくりといかない訳はあのセリフ セロリを好きだというあなた
西●気がつけば5月のままのカレンダー。7月、思いっ切り噛むセロリ
■朝顔
西●萎みたる朝顔の花に息入れて破れ音かすかな午後の寝屋
ひ●蒔きのがし手に載せいじる黒き粒昨夏の花よ白き朝顔
山●朝顔の蔓が巻きつく簾越し 昨日の恨み君に打ち水
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