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短歌会 フランシーヌの会
HAPPY TANKA BALLOON

7月21日〜8月17日 1997年



その艶を串刺しにして燻り出し寝床も鰻の汗する真夏   



■渦巻き

西●キンチョウの渦巻もまた逆巻きの夏であれかし南半球

山●どこ見ても渦巻きだらけの地球にて君も渦巻くボクの目の中

ひ●食べ終わりどんぶりに見る渦巻きは苦手ななると寂しくもあり



■夕焼け

ひ●夕焼けを透かす明日の日こぼれだし地平を溶かす空を下げつつ

西●山の端を幻にすなるこの街を夕焼け包み緑光待つ目

空気が澄んだ日、地平線がくっきりと立つ土地で、日が沈んだ瞬間に最後の 緑光がまれに見えることがあります。欧州ではこの瞬間を一緒に見た恋人達 は永遠の幸せを手に入れられるという言い伝えがあるそうで。エリック・ロ メールにもこれをモチーフにした映画がありました。

山●夕焼けに最終回と言われても ボールが闇にとけるときまで



■番外

ひ●街の火に 揺れる夜霞 散り溶ける 花の余韻よ 光の大輪



■盆

ひ●夜迎え風鈴鳴らぬ暑さにてうちわに揺れる盆提灯よ

山●盆に舞う死者と憩える夕涼み 蛍の光りに追いつけもせず

西●茄子胡瓜四つ足で立ち夕涼み灯の列歩む盆の夜生くる



■低気圧

ひ●履きなれてなじんだ靴が窮屈なこんな日決まって低気圧な空

西●低気圧吐息の重い昼下がり処女といただく氷水こそ

山●傘ささず雨に打たれて低気圧 君も花火もしぼみて落ちる



■蝉

西●空蝉になりて木の葉に馴染み行く 七日のかろみ揺る風のやうに

ひ●木漏れ日に目を遊ばせば蝉響く風を奏でる暖簾吊る茶屋

山●止むまなく天に響くは蝉しぐれ 死の淵のぞく暇もないかと



■海水浴

山●一日の海水浴に何もかも飛沫の中へ忘れ果てる日

西●血の熱さ足の裏より辿り来て海水浴の遠海圓(まる)し



■満月

西●川の中にて揺らぎ染む童心や満月たゆたふ蛍狩りの夜

山●雨の夜は雲の後ろの満月は 丸くはなくて本日休業



■鰻

西●その艶を串刺しにして燻り出し寝床も鰻の汗する真夏

ひ●うなぎ見る澄し湖目を冷やす袖通す風樹海の木漏れ日

山●青い目にうなぎはいかに映りけり カンヌでうなぎ泳ぐ日もあり



■夕立

黒●風ひと撫で プールサイドに 悲鳴わく 「夕立!やめろ!」 水へ飛び込む

黒●夕立が 今日一日を物語る 瞬き忘れる だれかの電話 

西●蝉時雨夕立の音に消え入りて七年の恋振り出しに戻る

山●夏の坂おちる雨粒夕立に ぬかれて君はずぶぬれ笑顔

ひ●夕立の洗いし街に吹く風が届ける香り過ぎ行く夏と






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