短歌会 フランシーヌの会
HAPPY TANKA BALLOON
8月18日〜8月24日 1997年
果てし無き海の軌跡に魅入られた行商老婆が住む無人駅
■夏休み
山●夏休み肌に染み込む太陽を いくつ我が身に抱きかかえる
西●麦藁にランニングシャツ一枚で「ガキのままだ」と言われ
ひ●絶え間なく現われ消える波間の泡よ身を透く風と夏休み過ぐ
宮●夏休み ナーダムに沸く 遊牧民 群れ咲く花と 馬乳酒の宴
■駅
西●駅に立ち恋を索(もと)むる少年の頬さす赤み涼しかりけり
ひ●果てし無き海の軌跡に魅入られた行商老婆が住む無人駅
山●無人駅裸電球ただひとつ ここは世界のひとつでもない
宮●人と人 集いては散る 徒然に 我が身を駅と 心得走る
黒●駅到着 彼女が振り向く 予感がし 出川哲朗の 気持ちが判り
■番外
宮●日も傾ぎ 今日も一日 ヤレヤレと 蝉なく森の ビヤガーデン
■花火
宮●鼻なでる 火薬の匂ひに 身を竦め しゃがむ君と 花火見比べ
ひ●盛りなく線香花火土に消え花の椿と落ち武者の首
西●口唇を吸ふ花火師火薬を慎みて配する部屋に息するやうに
山●咲いて散る命短しひと夏の 花火と蝉と砂浜の恋
黒●君の顔 光のかけらで 照らされて 僕の心に 花火があがる
黒●隅田川 花火が照らす 君の眼に 光を見たような気がしたあの日
■出迎え
西●出迎の装束選ぶ短夜の明くる早さよ一番蝉
ひ●出迎の笑顔に照れるいまさらに君が港の我が身ゆえにて
山●出迎えて時の刻みを覗き見る 変わらぬえくぼ指でつついて
宮●出迎の 本読む君を はや見つけ 幸せものよと 急く気を戒め
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