短歌会 フランシーヌの会
HAPPY TANKA BALLOON
9月6日〜9月12日 1997年
停電の 闇を掠めて 抱き寄せる 二人の沈黙 知る人ぞなし
■停電
西●暗闇にギシギシしなる羽音あり水の匂ひす停電の夜
ひ●停電かあちゃ〜そりゃないこの野郎!返せよデータ今日一日を!
黒●それ見つめ 停電の日を 待ちわびる 光の戯れ 懐中電灯
宮●停電の 闇を掠めて 抱き寄せる 二人の沈黙 知る人ぞなし
山●停電の蝋燭前に顔みつめ ひさかたぶりにじっと眺める
■蝋燭
西●影法師大仰に揺るレンズ持つからだ余して甘雨と蝋燭
宮●蝋燭の 明かりに時を 委ねつつ 揺らぐ炎に 耳をそばだて
山●蝋燭の炎にまわる天使たち 喇叭(らっぱ)吹く夜は鼓動が聞こえる
ひ●ろうそくの涙に見惚れうつうつと眼差し追うは紫の肌
■不通
宮●台風に 富士川鉄橋 崩れ落ち 東海道の 不通に驚き
ひ●テレビ見てありゃ不通だよとつぶやけば普通じゃないよと言う妻がいる
西●不貞不通不要不手際不信心礼節世襲し馬のやうな目で
山●君の街つなぐ電車の不通には なぜか心の震える雨の夜
■実り
西●ナナカマド細工となりて実りの日忘れじ夏のくちびる震ふ
ひ●実りゆく山の野リスの親子見て子の拾いたるどんぐりを置く
宮●道もなき 青き御山の 薮を漕ぐ ササの実りに ネズミはラッキー
山●誘われて秋の実りは数あれど 君のお腹にすぐるものとは
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