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短歌会 フランシーヌの会
HAPPY TANKA BALLOON

1月15日〜31日 1998年



人力車漕ぎ手の背中張り付いた シャツにインドの陽差しは修行   



■マンゴ

宮●朝もやの 青きマンゴに 齧りつき 消え行く闇の 残り香を断つ

ひ●まんごだって?どういうもの?それはだな、だんごの一種だ間違いないよ

西●熟れきった香りを醸す南国の黄色の実ゆえ犯すやうに食す

山●漆黒のヤモリの夜は屋根たかく マンゴの皿は朝露に濡れ



■椰子

西●青山(せいざん)よ椰子流れ着く浜持たぬ端境の地で吾は如何にあり

山●太陽は空を覆いし葉をつたい 光は椰子の実となることか

ひ●椰子の実を歯で剥くという男ありただそれだけを思い出す日

宮●夕暮れに 佇む乙女 しなる椰子 葉陰震わす 男の足音



■おまけ

宮●おまけだよ オババの声に ただ嬉し 夢中回る 独楽の日々

山●さよならと笑顔のおまけひとつだけ 成田の空に消えゆくしるし

ひ●初恋の記憶を越えていまも湧くおまけの喜び原を駆けた日

西●何よりもおまけ・付録が嬉しかり少年の日々のときめきを握



■インド

宮●悟らずも 迷わないのは 牛ばかり 命織成す インドの徒然

ひ●一服と軽く伸びしてながむればほれしゃれこうべ果て無きインド

黒●人力車 漕ぎ手の背中 張り付いた シャツにインドの 陽差しは修行

山●生き死にも 諦め果てて 神様に うつつも彼岸 祈るインド

西●インディアに流れる歌を如何にせむ躰余しつ心足らずして



■骨

宮●焼かれて骨晒すともわが記憶みずみずしくその煙に燻らす青の彼方

黒●肉を切る 度胸をもてず 骨断てず 出過ぎた杭は 打たれないのに

西●きしむきしめきしめばきしむ骨ありてサヨナラの日を憂うことなし

ひ●アスファルトざらつく寒さ目も凍えころがり落ちた骨まだ赤い










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