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短歌会 フランシーヌの会
HAPPY TANKA BALLOON

2月8日〜15日 1998年



棚奥に古きベロアの靴ありて祖父の歩みし春はまた来し   



■靴

ひ●散歩道まっすぐ乾いた土手の道風のまにまに聞く靴の声

西●棚奥に古きベロアの靴ありて祖父の歩みし春はまた来し

黒●君に逢う 道のり踊る 靴を履く 近づくために 紐はほどける

山●青空へ飛ばす日々など忘れたり 靴はみちびくいつもの道へ



■ベルト

西●カミソリを太いベルトで軽快に研ぐ音待ちて肌火照り出す

ひ●ベルトマン全身巻いたベルトマン手持ちぶさたに佇むバス停

山●息できずベルトの穴をひとつ開け 妻に隠してコートを着る日

黒●腕時計 革のベルトが なぜこんな 臭くなるのか 猫も背ける



■腕時計

西●三本の針それぞれに一定のリズムを持ちてマイ腕時計

ひ●腕時計時の刻みを忘れつつただ指先で触れてみる夜

山●はじめての左手重し腕時計 時がたつのがやけに遅い日

黒●腕時計 持たない生活 はや6年 原始的かな そろそろ靴も



■ピアス

西●穴空ける二つ目の穴ピアスがため少しは風の通ひ道にも

ひ●髪絡むピアスが止める風の道浜辺に寄せる波聴く日にも

山●いつだろねピアスの穴の閉じるとき 舌ざわりが寂しくなるね








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