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短歌会 フランシーヌの会
HAPPY TANKA BALLOON

2月16日〜28日 1998年



西●口紅の味噛み締める口元に春の香りはいよいよ強く   



■タトゥー

ひ●深い青入れる一筋血に沈み白さきわだすタトゥーの呪縛

西●消えずしてタトゥーという名の聖痕にマスカレードの双眸は笑む

山●寒い夜誰にも言わずただひとり 心にタトゥーを入れる日もある



■口紅

西●口紅の味噛み締める口元に春の香りはいよいよ強く

山●漆黒に口紅だけが目に浮かぶ おまえは誰か知らないままに

ひ●口紅を拭った口元青白くあなたのこころ知る人はどこ



■氷

西●南極のこおりを口に頬張れば幾千年の遺伝子弾ける

ひ●かきごおり練乳かけてあずきのせ何か足らない抹茶のシロップ

山●道端の氷をジャンプ飛び石に 冬の早起き三文の得



■カード

西●カード切る機会失い死蔵せるカードあまた眠る荒野の引きだし

山●別れ時「嫌よ死ぬわ」と言う前に 呆れ果てさせ最後のカード



■にわか雨

ひ●にわか雨通り過ぎてくビルの谷日差し恋しく濡れ犬一尾

山●にわか雨ひとつぶひとつぶ春を呼ぶ コートゆくりと脱いでく夜に

西●抜けるよな晴天深くにわか雨渇きの表いかに弾かむ



■酒

ひ●祝をうても怨み悲しみ嘆いても酒が潤す日々とくとくと

西●傘はなく雨足受けて重くなり酒すらない夜氷を含む

山●酒嫌い?何言ってんだ おいおまえ カウンターの端すみかとなりて








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