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短歌会 フランシーヌの会
HAPPY TANKA BALLOON

4月1日〜15日 1998年



山●曇天のゆらりとそよぐ春浅き 一雨ごとにサクラ散る散る   



■盃

ひ●盃を返せば降り積む桜花、梅の寒さを懐かしむ宵

西●行く春や盃に残る酒一滴干さずに置かむ渇きとともに

宮●盃を 注しつ注されつ 鼻歌を 合わせて霞む 新緑の宴

山●桜空 踊りと歌に 昼夜なく はらはら溢れる盃に映え



■ハワイ

宮●ハワイへと 並んで手繋ぎ 海を飛ぶ 世界一の 幸せ者たち

山●憧れのハワイ ワイキキ 金髪の 水着が濡れるテレビを見る夜



■学校

ひ●我が影を落としたグランド今もあり姿なき友、学校に見る

西●過ぎし日の思いを名付ける言葉なく学校の門を父としくぐる日

山●学校の桜並木が幕を張り 新入生のヴァージンロード

宮●学校の 門で見送る 小さき背 小さな「さよなら」 投じる春



■散る

西●新緑と散る花の住む一瞬の時を愛おしむ者であれかし

ひ●ひとひらの散る道筋はひらひらと吹き行く風も知らぬ旅行き

宮●粟炒りて 散る様愛でる エチオピア 夜の余韻に 甘苦きコーヒー

山●曇天のゆらりとそよぐ春浅き 一雨ごとにサクラ散る散る



■不思議

山●我が不思議 輪廻をめぐり 今何処 歩みを止めるわけにもいかず

宮●ブランドで 身辺固める 女子高生 この不思議を どうしたものやら

西●なんだろう不思議だなあ。なんだろう。輪郭欠ける人をよく見る



■チタン

西●杜若(かきつばた)咲く初夏の水面深く濁りチタン色に映ゆ二人の行方

山●サラリーマン チタンのパターを思いだし 今日も傘を 逆さまに持ち

宮●和風美人 サルサにうねり 始めたら チタンの腰に しばし戸惑う



■車掌

黒●縄二本 車掌がしゃがみ 「オハインナサイ」 転ぶまで走る 快速ごっこ

ひ●廃駅の待合室の木のベンチ車掌の帽子がただひとつある

宮●色を削ぎ 伝える気持ち 欠く声で 今朝もクールな 車掌は色黒

西●スッチーもそういえばあれって車掌だよな。ああ今日の空とっても低い



■潜水艦

西●六歳児「イエローサブマリン」お気に入り踊れ最期は地球が潜水艦

宮●潜水艦 といったらそれは 原潜の シービュー号 のことでっしょ

ひ●見たんだよ神社の裏の亀池であれは絶対潜水艦だ

山●深海の潜水艦の心持ち 寂しいような憧れるよな












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