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短歌会 フランシーヌの会
HAPPY TANKA BALLOON

7月1日〜14日 1998年

<蛍>

西●蛍火のやうに残りし火照りありやがては夏の熱さに紛る

ひ●冬耐える沖を漂う海蛍 夏に悶える闇夜の蛍

宮●その光に 似た明滅は 共鳴し かたまりとなり 蛍と呼ばれ

山●ふーらりと闇に文字かく訳ありか? 蛍、彼岸を覗きつつ



<磯>

宮●引汐の 磯辺は命の 玉手箱 覗く小人に 竦む蟹たち

ひ●引き潮の彼方に忘るざわめきを頑なに待つ磯辺の貝よ

西●寄せ来ては老いも若きも洗われる波ぞありけり磯辺で遊べや



<笹>

ひ●かき分けて笹かき分けて進む道ふと見る手には傷幾重にも

宮●笹舟に 花びら2枚 白と赤 淵を渡りて 恋は始まる

泥●白日傘 夏の香りの すれ違う 笹垣の前 初恋の人

西●笹笛を鳴らせども草むらは揺れじ陽炎揺れて唇を切る



<満月>

宮●満月の 重き夕暮れ 霞むビル 笑うカラスに なす術もなく

ひ●帆を揚げて海渡る風に身を預け波間を見つつ思う満月

泥●満月の 明かりで眺めた エロ本も 蒸し暑い夜は 無力と化し

山●熱帯夜 満月ひとり ただありて 闇を友にし飽きることなし

西●流れ止む溝に映れる満月もあきらめ顔で風を待つ短夜

黒●熱帯夜 輪郭ぼかす 満月の 見目麗しさ しびれる視界



<便り>

宮●ホオズキに 水やり呷る 生ビール 久しき友の 便りは開かず

泥●年1回 便りをよこす 父だケド ヨレヨレの書体 頼りない文字

ひ●便りなし 爪を切る音 ただ乾き 月下美人が 咲くのだと言う

西●遠きより届きし便りに籠も > > りたる熱帯の息切手より溢る










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