短歌会 フランシーヌの会
HAPPY TANKA BALLOON
7月15日〜31日 1998年
<祭り>
泥■浴衣着て 団扇片手に 町に出りゃ 祭囃子(まつりばやし)と 出店の明かり
泥■「あ?」「あん?」「お?」 ガンのつけあい 果たし合い 木刀片手に 祭りの片隅
泥■祭りにて キスするチャンス 伺うが 日本の夏は 緊張の夏
ひ●盆太鼓遠ざかるほど音締まり闇に溶けゆく魂、祭り
宮●子どもたち 境内うろちょろ そっちのけ 綿菓子舐めれど 祭りに踊らず
西●雪駄履き浴衣の胸に短刀秘め襲ひてみむか祭りの夜
黒●提灯を つるす軒(のき)見て 脚速め 祭りを速めた つもりの昨日
山●しらじらと祭りのあとの肌寒さ オトナになったつもりになった
<海>
宮●シベリアの 汗だくの背に 蝿真っ黒 掃えど掃えど 海を求める
ひ●海深く 沈む亡骸 降り積もる 燐光放つ 命の雪よ
黒●恥じらいを 纏(まと)った人の 夏の海 ネールの艶に 陽差しを強め
泥● おつかいに 行ってくるわ と言いながら 海で密漁 する母強し
山●青き闇抱いて溺れた海ひとつ 霧にかすみて見えもせず
<山>
ひ●山陰が丘にとどけば帰るんだ 祖父を待つ子の釣糸なびく
宮●山降りて 林道脇で ひとやすみ 引き返そうかと 友と笑えど
泥●二本指 足に見立てて 寝転がり 2つの胸の 山踏破する
黒●山訪ね 環境問題 考える 眉間にしわよせ 割り箸 頬張る
<川>
ひ●川底のサンダル青み肌白む水芭蕉抱くあなたの爪先
黒●川の上 滑る藻の風 髪とかす 船の動力 勇ましく聞こえ
山●フラフラと川面に浮かぶ影ふたつ 波は静かに闇、揺れつづく
泥●好み顔 ジャニーズ系なら まだわかる なぜにアナタは 巨人川相?
泥●川魚 高速、ガス代 道具代 1万使って ボーズかい
宮●ま〜い朝 通勤電車で 渡る川 こ〜んなドブでは 死にとうないのう
<砂>
ひ●掃えども 砂掃えども 砂の肌 海を眺むる 砂虫の午後
宮●砂浜の 波打ち際を トボトボと 落陽辿り 歩きたきかな
西●黒砂の浜に惰眠のウミガメが一筋涙す夢遠き午後
黒●横たわり 理性を失い からませる 砂浜村淳でございます
泥■向こうから 通りすがりの サラリーマン 塀の影から 砂かけてやる
<地震>
宮●たけなわの 蝉声潜め 地震待ち 一息の後 またもたけなわ
黒●また地震? 灯りのヒモが 揺れるたび 地下核実験したんとちゃうか
ひ●「地震だよ」ふと呟いた ただ消えた 路面の煙草 わずかに煙る
泥■大地震 今起きたなら この仕事 しなくていいよ すごくうれしい
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