98/MAR/22   若の花


 

最近はお相撲も余り人気がないらしい。私も以前ほど、若貴兄弟が台頭してきた当時ほど、熱心に見てはいない。貴の花が安定してしまったし、曙が余り勝てなくなってしまったし、かと言って、この二人の横綱を脅かすような力士はいないし・・。

それでも、何となく若の花だけは勝敗を気にかけ、応援している。身体が小さいこと、技が多彩なこと、も当然の要因なのだが、特に貴の花という弟を持つ兄であることも大きな理由だ。

弟の方が相撲は強い、身体は大きい、顔もいい。そんな環境の中で、グレもせず、淡々と精進しているように見える。自分の兄弟の成功は、喜ばしさと同時にどこか妬ましい気持ちを、多少なりとも抱えてしまうのが普通だろうと思う。同じ親を持ちながらも、迎える結果の違いに恨めしい気持ちも感じるだろう。ましてや体格という人間の努力ではいかんともし難いものが、結果をもたらす大きな要因となるような職業にあっては、なおさらだ。と、私は思うのだが、若の花を見ていると、そんなことは関係がないようだ。ただただじっと、自分の相撲ということだけを見つめているように思える。この辺りの精神の強さがこの関取の一番の魅力だし、その真っ直ぐな姿勢についつい応援したくなるのだ。

若の花が優勝した。7場所ぶり4回目だそうだ。千秋楽の琴錦を破った相撲は、まさに「上手い」の一言。・・・がんばれ!若の花。

 

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