98/NOV/3   バロメーター


 

毎日、同じことを同じようにすること、貴方はどれくらいあるだろうか。顔を洗う、化粧をする、新聞を読む、コーヒーを入れる、・・・朝に行うことは、かなりパターン化されていることが多い。私はクライアントの会社へ直行することが多いため、毎日同じ電車に乗る、という生活パターンでは無いから起床時間もまちまちだったりするが、それでも、毎朝、同じことを繰り返している。

私にとって、毎朝の行事の最たるもの、それは、坂を上ることだ。私の家から駅へ向かうには、傾斜のきつい坂道を上らなくてはならない。

不思議なもので、同じことを繰り返していると、昨日と今日の違い、とか、いつもと違う私、みたいなことに気が付くことがある。坂道は変わらないのに、坂の上り始めのあたりで、「やだなあ。つらいなあ。」と思うこともあれば、「おっと、もう坂を上りきってしまったか。」と思うこともある、時には、坂道の存在さえ忘れて考え事に没頭していることもある。途中で息が切れそうに辛いときなどは、大抵体調が悪い。体調が良くても精神的に参っていると、上っても上っても坂道には終わりがないように思えるのだ。

坂を上りながら考えていることも様々だ。寒いとか暑いとか、風が強いとか季節のことだったり、仕事のことだったり、週末の予定だったり、出勤後に繰り広げられるであろう嫌な上司との会話シュミレーションだったりするのだ。統計を取ったわけではないが、楽しいことを考えていたり、前向きに仕事のことを考えていたりする場合は、調子が良いようだ。

坂道を上ると言うことは、いろいろな意味で私のバロメーターになっているのだ。とは言え、最大傾斜15度の坂道は、私の毎日の第一関門でもあることには間違いは無いのである。

 

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