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日経新聞入門講座

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VOL001-設備投資  98/FEB/24 朝刊1面「設備投資4年ぶり減少」

設備投資、「きょうのことば」にも解説が載ってるけど、簡単に言えば、メーカーなら工場を造ったり機械を新しくしたり、百貨店なら新店舗を造ったり改装をしたりするための支出額のこと。

数字とかは記事を読んでもらうとして、ここでは、何で1面トップに設備投資の統計記事がきているのか、その意味を考えてみることにしましょ(もちろん、他にトップを飾るべき記事がなかったってこともあるでしょうけど、設備投資の背景を考えてみましょ)。

例えば、ここに車のメーカーがあるとします。売上を伸ばすため、新型車の販売を予定してます。となると、機械を新しくしたり、設備投資の必要がでてきます。設備投資のためにはお金が必要です。お金をたくさん持っている企業の場合は、会社のお金を支払いに充てるでしょう。でも、お金の手持ちのない企業の場合は銀行から借りたりする必要があります。

お金を借りたら利息を払わなければなりません。手持ちのお金を設備投資に充てるとしても、そのお金をそのまま銀行などに預けていればもらえたはずの利息をもらうことができなくなってしまいます。・・つまり、銀行からお金を借りるにしても、自己資金を充てるにしても、何らかの犠牲(自己資金を充てる場合は、もらえたはずの利息がもらえなかったという意味で)が発生します。

新型車がたくさん売れて儲かれば、設備投資のために発生した犠牲など、どこかへ吹き飛んでしまうでしょう。でも、もし売れなかったら??

でも、新型車の発売をしない自動車メーカー、あるいは、店舗の改装もせずに壊れかけた店舗で販売をする百貨店、・・そんな企業は潰れちゃう。つまり、どんな企業でも企業活動を継続していくためには、設備投資が必要なんです。でも、売れる見込み、逆に言えば、銀行からの借金を返す見込み(自己資金を充てた場合は、その減った資金の穴埋めできる見込み)がなければ、資金繰りが苦しくなって(簡単に言えば、手元の現金がなくなって)倒産してしまうことになりますよね?

この背反する事柄(設備投資をしなければならないけれど、そのための資金をどこから調達してどのように回収するか?)をどう判断するか、というのが設備投資の意志決定です。今回、設備投資が減ったということは、企業が当面の先行きを厳しいものだと感じていることの現れと理解できます。また、絶対売れる、という自信のある商品が見えない、ということでもあると思います。

つまり、設備投資の予定額の多寡により、企業自身が近い将来の自社を取り巻く環境や状況をどのように判断しているのか、が見えてくるのです。景気の先行きに関するアンケートなんかよりは、自社の直接的な将来を語っているという意味において、企業の実感を表現しているということになりますね。それ故、その調査結果には関心が高い→1面トップ記事ということになったのでしょう。

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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