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お母さんのための

日経新聞入門講座

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VOL017-在庫  98/SEP/24  朝刊11面「富士重・三菱自が在庫圧縮」

在庫と言うと、メーカーの原材料などを含む棚卸資産全般を指す場合もありますが、この記事では、メーカーにとっての製品とディーラーにとっての商品(物体としては同じ自動車であっても、物を作っている企業にとっては製品、出来上がった物を仕入れている企業にとっては商品と呼ばれるのが一般的です)である、自動車自体を意味しています。従ってここでは、製品あるいは商品という意味で在庫という言葉を使うことにします。

製造業や販売業に携わるたいていの企業は在庫を持っています(受注生産形態を取る企業などは在庫を持たない場合もあります)。在庫を持たなければ、お客さんが買いに来たときにすぐに売ることが、つまり、お客さんに製品や商品を引き渡すことができません。例えば、お母さんが自動車を買おうとしているとします。ある車種を決めて、これを下さい、とディーラーへ伝えます。この時、ディーラーがこれから作りますから1ヶ月待って下さいと言ったら、どうしますか?どうしてもその車種が欲しい場合以外、だったら他のディーラー(あるいはメーカー)ので良いわ、と思うかも知れません。つまり、在庫が無ければ、販売のチャンスを逃すことになる可能性があります。

上記から考えると、在庫をたくさん持っていればいいじゃないか、ということになりますよね。ところが、その一方で、在庫を持つということはその在庫を保有するための資金が硬直化するということでもあります。例えば、ディーラーであれば、メーカーから商品を仕入れていますから、その仕入代金は、在庫が売れるか売れないかに関わらず支払わなくてはなりません。メーカーなら、材料費や製造に関わる経費などを支払わなくてはなりません。つまり、仕入代金などの出金が、販売代金の入金よりも、ずっと前に発生することになります。この出金から入金までの時間的なズレが、その企業の資金繰りを苦しくします。これは売掛金の回収が遅れた場合と同じです。

また、さらに、その在庫が売れなかったらどうでしょう。自動車の場合、モデルチェンジなどがあると、旧モデルの販売価格は急落しますよね。ひどい場合には、全く売れなくなってしまうかも知れません。そうなると、その在庫を保有するために支払った代金は、回収できないことになります。

従って、販売のチャンスを逃すことのない程度に少ない在庫を保有する、というのが、一番効率的だということになります。さらに言えば、売れる在庫だけを持てばいい、ということになります。明瞭なことですが、売れる見込みというのは将来に対する判断ですから、現実の世界では非常に困難なことであります。それをどのように克服していくか、それぞれの企業は知恵を絞っているのです。

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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