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VOL018-税効果会計  98/OCT/18 朝刊1面「税効果会計、今期から」

税効果会計、これを会計の知識を前提にせずに説明するというのは、かなりの暴挙かも知れません。でも、とても旬なテーマですので、チャレンジしてみましょう。

ここにA社という会社があります。9月決算の会社です。一番単純なパターンとしては、税率を50%と仮定した場合、税引前当期純利益の50%相当額が法人税等となり、税引前当期純利益から法人税等を差し引いた残高が、当期純利益となります(この公式についてはVOL003を見て下さい)。

ところが、ある費用の一部について、税務上は当期の費用として認められませんでした。会計上は、その会計期間(A社の場合は97年の10月から98年の9月まで)の間に発生した費用は、その期間の費用としてそのまま計上できます。しかし、税法上は、政策上いろいろ制限を設けていますので、会計上の利益の計算と、税務申告のための利益の計算(法人税等は、会計上の利益の計算を基礎として、税務上の特別の計算を追加して計算した利益、これを課税所得と言います、の何%という形で計算されます)では利益として把握される金額が変わってきます。まさに、この違いが税効果会計を要請しているのです。

さて、数字を使ってみましょう。

A社の売上が10,000千円で、売上原価が4,000千円、販売費及び管理費が1,000千円でした。営業外損益、特別損益はありませんでした。販売費のうちの400千円が、税務上は当期の費用として認められませんでした。

従来の会計だと、税引前当期純利益が5,000千円、法人税等が2,700千円((5,000+400)×50%)、当期純利益が2,300千円となります。

税効果会計では、税引前当期純利益が5,000千円、法人税等が2,500千円(5,000×50%)、当期純利益が2,500千円となります。

何が違うのでしょうか?販管費の400千円に対する税額の200千円の取扱が違うんですね。この200千円について、税効果会計では、税金の前払い分という捉え方をします。あくまでも、当期の利益に対応する税額だけを計上しようというのが、税効果会計なのです。

もちろん、A社は98年9月決算における税金として、11月までに2,700千円を支払うことになります。税効果会計は、会計上の処理の方法であって、税金の支払額を変えるものではありません。

また、今回の例では、前払い分として計算される場合を想定しましたが、未払い分を計上しなければならない場合などもあります。

 

今回もかなり端折って説明を試みていますので、正確なことは企業会計審議会の意見書などで確認して下さいね。また、転載される場合は必ず事前にご連絡下さい。

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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