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お母さんのための

日経新聞入門講座

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VOL019-損益計算書  番外編3

多分、お母さんが損益計算書を直接目にされる機会は、ほとんど無いと思います。決算公告の際、くらいでしょうか。VOL009に実物を掲載してありますので、見て下さいね。貸借対照表が、企業が集めてきた資金の源泉とその運用状態を示しているものだとすると、損益計算書というのは、何を表示しているものなのでしょうか。

企業の会計期間というのは通常1年です。つまり、1年ごとに決算を迎えるのです。例えば3月決算の会社であれば、4月1日から3月31日が、一つの期間(会計期間)として認識されます。

この、会計期間の経営成績、つまり、企業の業績を評価するための期間損益を表示するのが、損益計算書です。期間損益とは、1会計期間における収益の額から、同じ会計期間における費用の額を差し引いた額、と理解して下さい。

VOL009の損益計算書だと、当期利益(これが最終的な期間損益です)の後に、前期繰越利益から当期未処分利益までの計算がありますが、これは、配当可能な利益の金額を計算するためのものです。表示形式の問題で、この部分がくっついている、と考えて下さい。

この損益計算書にも、いろいろな原則がありますが、お母さんが日経新聞を読むためには、費用収益対応の原則だけ理解しておけば十分だと思いますので、それを少し説明します。

損益計算書は、ある一定の期間を区切ってその企業の業績を表示するものだ、ということはお話しました。その期間に実際に発生した収益(売上とか、受取利息とか)や費用(材料費や人件費、支払利息など)を計上するのはもちろんのことです。ところが、費用の中には、実際の支出が別の会計期間であるけれども、当期の収益に対応する費用というのが、あります。

うーむ、この辺り、難しいですかね?

例えば、大きな機械で作った製品を販売している会社があったとします。その機械は、5年に一度、大がかりな修繕をしなくてはなりません。この場合、修繕のための費用は、5年に一度だけ支払われます。もしそのまま計上すると、4年間は修繕費用が0円で、5年目の損益計算書だけに修繕費用が、ドン、と計上されてしまいます。一方で、修繕費用を計上していない4年間にも、その機械で作った製品は販売されていますので、売上は計上されています。つまり、4年間は(他に費用の発生が無いと仮定して)大儲けで、5年目だけ、大赤字となります。何か、変じゃありませんか?

確かに、修繕費用の支出は5年に1回ですが、修繕が無かった4年間も、その機械を使って製造販売活動を行っていました。だったら、この5年間それぞれが、その修繕費用を負担すべきではないか、つまり、5年間にそれぞれ修繕費用を計上すべきだ、というのが、費用収益対応の原則というものです。この方が、会社の業績をきちんと表示することができる、と思いませんか。

つまり、ある会計期間に計上された収益に対応して計上すべき費用を計上しましょうということです。引当金はこの原則に基づくものです。引当金は後日取り上げます。

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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