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お母さんのための

日経新聞入門講座

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VOL033-フリーキャッシュフロー  1999/JAN/19 朝刊19面「キャッシュフローを読む」

キャッシュフロー計算書に関連して、話題になっているフリーキャッシュフローについても説明しておきましょうか。1月19日の日経新聞では、「営業現金収支から投資現金収支を差し引いたもの。現金の出入りで見た純粋の儲けを示す。」と定義しています。ちなみに、現金収支とはキャッシュフローのことです。

実は、このフリーキャッシュフローは、会計原則などで定義が決まっているものではないので、論者によって定義が異なることがあります。フリーキャッシュフローを営業活動によるキャッシュフローから現在の事業を維持するための設備投資(投資活動のキャッシュフローに含まれる項目の一部です)などを差し引いたもの、と定義する場合も多いです。この場合、フリーキャッシュフローは、企業の自由に使える資金と捉えられています。

両者の違いは、投資活動のキャッシュフローの項目の一部である、他の企業への出資や新規事業に対する設備投資などに対する捉え方の違いです。日経新聞の定義ではこの新規事業に対する投資などの金額はフリーキャッシュフローに含まれませんが、後者の定義では含まれることになります。

ちょっとややこしいですし、お母さんはこの定義の違いを気にする必要は全く無いと思います。ビジネス書などを読まれた方が定義が違うことで混乱するのを避けるためにご紹介しただけですから。要は、企業が資金をどう使うのか、というところに焦点がある訳で、出発点は違っても分析しようとしている内容は同じですから、この定義の違いに拘る必要は無いと思います。

では、少し、日経新聞の定義にそって、数字で見ておきましょうか。

例えば、営業活動によるキャッシュフローが800(流入超過)、投資活動によるキャッシュフローが△900(流出超過)だったとしましょう。この場合、営業活動で獲得した資金より投資活動へ投下した資金の方が多く、この2つの活動からは、100だけキャッシュフローが不足したということになります。こうなると、企業は(A)手元の資金を取り崩して不足分に充当する(期末の現金及び現金等価物の減少という形で表示されます)か、(B)銀行などから資金を調達(財務活動によるキャッシュフローに流入として表示されます)しなくてはなりません。

  (A) (B)
営業活動によるキャッシュフロー(X) 800 800
投資活動によるキャッシュフロー(Y) △900 △900
財務活動によるキャッシュフロー(Z) 100
現金及び現金同等物の増加額(Q)=(X+Y+Z) △100
現金及び現金同等物の期首残高(R) 200 200
現金及び現金同等物の期末残高(R+Q) 100 200

日経新聞の定義によれば、この場合フリーキャッシュフローは(X)+(Y)ですから、△100となります。

もし、現在の事業を維持するための設備投資等のキャッシュフローが△600だったとすると、後者の定義ではフリーキャッシュフローは200(800−600)となります。

 

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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