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VOL034-税効果会計2  99/FEB/05 朝刊19面「税効果会計を前倒し導入」

うーむ、もう1ヶ月以上前の記事ですね。最早、新聞ではなく、旧聞となってしまっていますけれど、ご容赦下さい。

恐らくご記憶にはもう無いだろうと思いますので、この記事の見出しを少し引用しておきます。

「最終赤字縮小」「日立、今期は1900億円」「新日鉄はトントン」

この記事の隣に日立の単独決算に関して、「税引き前損失は3300億円になるが、税効果会計の採用で最終損益は1900億円の赤字を見込む。」との記事があります。

なんだ?税効果会計を採用すると、赤字が減少するの?と思われたことでしょう。

そうなんです。かなり多くの企業で、このようなことが起きるだろうと思われます。上場企業等の場合、税務の規定ではその期の費用(損金)として認められなくても会計上の要請から計上しているものがかなり多くあると考えられるからです。税効果会計の意義等についてはVOL018をご参照下さいね。

このような費用の代表的な例としては、貸倒引当金や退職給与引当金等が上げられます。これらの引当金について税務上損金算入限度額(その期の税務上の費用として認められる限度額)が設定されていますが、会計上計上すべき金額として算出される金額に比べ、税務上の限度額の方が低い場合が多いので、税務上の限度額を超過して計上している企業が多くあります。税効果会計では、税務上の限度額を超過して計上した分に対応する税金額について、税金を前払いしたものとして取り扱われるため、税引後純利益は、その前払税金分とみなされた金額だけ増えることになります。

しかし、税効果会計を導入すると、導入しない場合に比べて、必ず赤字が減少するあるいは黒字が増加するとは限りません。例えば、利益処分方式により圧縮記帳をしていたり、税務上の特別償却などを行っている場合(これらは法人税法上の規定で、政策的な観点から、特定の設備投資などを行った企業に対して税制上の優遇措置を与えるためのものです。)は、税金を後払いするものと考えられるため、赤字が増加あるいは黒字が減少することもあります。

また、税務上の限度を超えて費用処理しても、税金を前払いしたことにはならない場合もあります。例えば、交際費などがその例です。上記の貸倒引当金等とどこが違うかというと、貸倒引当金等については税務上も将来的には損金(税務上の費用)として認められる(だから前払いと考えられますよね)のに対して、税法の限度額を超過した交際費の場合は税務上、永久に損金として認められない(だから前払いしたとは言えませんよね)という違いです。

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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