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お母さんのための

日経新聞入門講座

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VOL052-M&A(merger & acquisition) 番外編13

前回、M&A(企業の合併と買収)という言葉がでてきました。M&Aを行う企業の動機について考えてみることにしましょう。

企業はそれぞれ、経営戦略を持って活動しています。経営戦略とは、簡単に言ってしまうと、どのように生き残っていくか、あるいは、どのように他社と戦っていくか、という具体的な方針や方法のことです。経営戦略に盛り込まれる要素は様々ですが、一般的には、企業の事業範囲のあり方や、製品・商品・サービス群などのあり方(競争戦略と言われることもあります)をその要素とするのが一般的だと思います。

さて、企業の事業範囲のあり方を考える場合、現在の事業範囲を広げるか、あるいは維持するか、縮小するか、という大まかには3つの選択肢があります。

この事業範囲を広げる、という選択に沿って展開されるのがM&Aだと考えて良いと思います。さらに、その方向は2つの選択肢があります。一つは多角化、一つは規模メリットの追求です。

多角化という言葉はお母さんもお聞きになったことがありますよね?例えば、JRがコンビニ(コンビニエンスストア)を始めたり、クレジットカードを発行したり、というのも事業の多角化の例です。従来の事業以外の新しい事業を興す場合、1から自分の会社で育てていくのはかなり大変です。従来の事業についてはそのノウハウやその事業に詳しい人材などが蓄積されていますが、全く別の事業には、従来の事業から得られた蓄積はほとんど役に立たないからです。例えば、お魚屋さんに明日から八百屋さんになってみて、と言っているようなものなのですから。もちろん、時間をかければできるでしょう。けれど、そんなにノンビリしている時間はありません。そのような場合に、その新しい事業を既に展開している企業をM&Aを行って自社に取り込むことにより、その既存の企業のノウハウなどを生かして経営を行うことができるのです。

では、規模のメリットの追求とはどういうことなのでしょうか。例えば、A社がコンピューターシステムを導入するために100億円かかるとします。同じようにB社に導入するにも100億円かかります。ところが、A社とB社が一緒になった場合は、150億円しかかからない。こんなことが設備投資においてはよく起こります。A社とB社がそれぞれ100億円ずつの負担を抱えて事業を行うよりも、A社とB社が一緒になった場合の方が全体としての設備投資による負担が少なくて済むのです。例えとして適切でないかも知れませんが、家を2件作るより、2世帯住宅を1件作った方が安く上がる、そんな感じでしょうか。このようなことを規模のメリットと言います。最近は情報関連設備投資(コンピュータシステムなどですね)が、あらゆる業種の企業にとって大きな負担となっていますから、それがM&Aの動機になるということは十分にあり得ることだと思います。

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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