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VOL053-強制評価減 2000/JAN/19 朝刊3面「販売用不動産を時価評価」

日本公認会計士協会が総合建設会社等が所有する販売用不動産等について、商法等に基づく強制評価減を適用する場合に、会社が実施した販売用不動産等の時価の算定方法等が妥当か否かを判断するための監査上の実務指針としての草案をまとめたという記事です。

強制評価減というのは、保有する資産について、時価が取得原価より著しく下落した場合に、その価格が回復する見込みがあると認められる場合を除いて、時価をもって貸借対照表価額としなくてはならないという規定で棚卸資産等について適用されます。著しく下落というのは、おおよそ50%と考えられています。

例えば、ある不動産会社が、販売用の住宅地を4千万円で取得したとします。その住宅地の時価が2千万円より下落した場合、その価格が回復すると認められる場合以外は、その住宅地の価格を時価で評価して、取得価額との差額は、評価損として費用に計上する(上の例で時価が1千万になっていた場合、貸借対照表上には1千万円で計上し、4千万円から1千万円を差し引いた3千万円を評価損として計上)ということです。

この強制評価減というのは、企業会計原則等の日本の企業会計において既に規定として盛り込まれているんですが、不動産という商品(棚卸資産)は、明確な市場というのが存在しないため、時価がはっきりしにくく、この強制評価減の適用が見送られがちでした。そこで、時価の算定方法を明確に定めることにより、強制評価減をきちんと適用させようとするのが今回の実務指針です。

いわゆるゼネコンと言われるような総合建設会社、住宅販売会社、商社等の抱える販売用不動産について、今まで見えてこなかった含み損部分が、表にでてくることになります。著しい下落をしていて、かつ、回復の可能性があると認められない場合、という限定がついているので、直接的な時価会計の適用ではありませんが、これらの企業の実態を貸借対照表上により適切に映すことになります。

なお、回復の可能性の有無については、日本経済や地域経済の状況、地価の動向、個々の不動産の開発計画の認可や実現可能性、近隣の開発環境など様々な要因を考慮して判断することになります。

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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