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VOL054-TOB、MBO、LBO 2000/FEB/15 朝刊11面「敵対的TOB不発に」

またM&Aに関連する言葉が出てきましたので、少し整理しておきましょうか。記事にあるのはTOBだけですが、同じくM&Aに関連する言葉で時々見かけるMBO、LBOも一緒に、イミダス2000(集英社刊)で調べてみましょう。

TOB(take over bid)株式公開買い付け
他社の株式を所有する人に買い付けの価格、株数、期間などを公告して、買い取りを提案する。その条件なら所有する株式を売ってもよいと考える人は、証券会社などを通して株を売り付ける。株式市場で大量の株を買い付けると株価が急騰してしまうが、TOBなら予定価格で予定数の株式を短期間に買い集めることができる。応募株数が予定数に達しないときはビッド(申出価格)を変更したり、提案そのものを取り消せるから、市場で買い集めるのに比べると危険は少ない。TOBを実施する目的は三つある。1ある企業を吸収合併する。2提携企業との関係を強化する。3株式消却やストック・オプションのため、自社株を買い集める。−以下略−

MBO(management buy-out)経営権買取の略
子会社の経営幹部などが金融機関の支援によって、子会社の株式の過半数を買い取り、経営権を得て親会社から独立すること。親会社の方は売却資金を自社の得意分野に投資できるし、子会社の方は経営陣と従業員を引き継いだまま、経営の機動力を高めることができる。その意味で企業のリストラクチャリング(事業再編成)に効力を発揮する。−以下略−

LBO(leveraged buy-out)
企業を買収する場合に、買収しようとする企業の資産やキャッシュフローをを事実上の担保にした銀行借り入れやジャンク債で買収資金の大半を賄う手法。少ない自己資金でも大規模買収が可能となるためレバレッジ(てこ)という言葉が使われる。−以下略−

ふうっ。脱線しますが、どうも英語の略字というのは、紛らわしくてイヤですね。同じような略字がいろんなところで使われますから、何の話をしているのかを把握しないと、とんでもない誤解をしてしまうことがあります。米国人でも間違えることがあるらしいです。その点、漢字は漢字自体で意味を表現しますから、わかりやすいですよね。・・・と愚痴はこのくらいにして。

上の3つは見た感じがよく似ていますが、その意味は2つのグループに分かれていますね。MBOとLBOは買収する側の事情とでも言うのでしょうか、誰がどんな資金で買収するのか、という話ですが、TOBは買収する会社の株式をどのように手に入れるか、という話ですね。全く違う話ですから、混同しないようにしないといけません。

さて、記事の見出しにある「敵対的」という言葉ですが、買収する側と買収される側がその買収行為について合意している場合を、「友好的」、合意していない場合を「敵対的」と呼んでいます。

記事によると、株式の持ち合い(VOL026を参照して下さい)をしている企業が株式の売却に応じなかったため、今回のTOBは成功しなかったということですが、ここでも何度かご説明しているように、時価評価の波がやってきています。持ち合い株式に対しても、所有する資産としての効率的な運用が迫られていることには間違いありません。自社の戦略に照らして、その株式を所有する意義は何なのかをはっきりさせる必要があると言えるでしょう。

また、持ち合い株式を所有する企業は安定株主であったわけですから、その解消が進むと、今回のような敵対的TOBを仕掛けられる可能性が高くなります。それをどのように防いでいくのか、また新たな課題です。

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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