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VOL059-ストックオプション(stock option) 番外編16

時々紙面に登場していますね。今回はこの言葉を取り上げてみましょう。

「ストックオプションとは、経営者・従業員が自社の株式を一定の権利行使期間にあらかじめ定められた権利行使価格で買い取ることのできる権利をいう。将来の一定の時点で、株価が上昇していれば、オプションを行使して会社から株式を購入し、その株式を市場で売却することでキャピタルゲインを得ることになる。ストックオプションは、経営者または従業員に業績向上に対する強力なインセンティブを与えるものであり、会社の業績向上とそれに連動した株価の上昇があるときには、経営者または従業員に臨時の成功報酬を与えるものである。(公認会計士業務資料集第39号:日本公認会計士協会東京会」

カタカナの意味を補足しておきましょう。ストック(stock)は株式、オプション(option)は選択権という意味ですね。ストックオプションは自社株購入権と訳される(イミダス2000より)ようですが、最近はカタカナのまま、登場することが多いと思います。キャピタルゲイン(capital gain)は有価証券の売却益です。インセンティブ(incentive)は動機とか誘因とか訳されますね。

ちょっと数字で考えてみましょうか。Aさんが会社からストックオプションを2000年1月1日に与えられました。行使価格はこの日の株価100円です。行使期間は10年です。

ケース1:行使期間中のある時点で、株価が500円になってたので、Aさんはオプションを行使し、株式の売却益400円を手に入れました(税金等は考慮していません)。

ケース2:行使期間中、株価は低迷し、行使価格である100円を超えることはなかったので、Aさんはオプションを行使しませんでした。

基本的に会社の業績は株価に反映されると考えられますから、ストックオプションを与えられたAさんにとって、会社の業績が良くなること=自分の所得が増えること、になります。そうなれば、Aさんとしては会社の業績を上げるべく努力することが自分にとっても直接的なプラスの結果を導くことになり、明確な目的をもってがんばることができます。これが上の説明に言う「業績向上に対する強力なインセンティブを与えるもの」という意味です。また、Aさんは、株価が上がらなければ、ケース2にあるようにオプションの行使を見送れば良いわけで、そうすればAさんに負担が生じることはありません。この意味で、Aさんにとってはリスクの低い仕組みということができます。

会社にとっても、現金でボーナスをはずむよりもずっと少ない資金負担で、従業員や経営者の業績向上への意欲をかき立てることができるわけです。現在のところ、公開企業(上場企業や店頭登録企業)ではまだあまり導入が進んでおりませんが、企業にとっても従業員や経営者にとってもかなりメリットのある仕組みですから、今後、導入する企業は増加するだろうと思われます。

なお、一口にストックオプションと言ってもその方式は様々です。商法に規定のある自己株式や新株引受権を与え方式や新規事業法という特別な法律に規定されている方式、ワラント債を利用した方式などがあります。

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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