4通目


Subject:Re: 2/1のことですが。
Date:Wed, 29 Jan 1997 12:36:29 +0900
From:Shimizu Rinzo
Organization:poet
To:Yasuyuki Suzuki
References:1


鈴木志郎康様
朝早くからパソコンと向き合っているのですね。

僕は通常朝晩アクセスしています。いま正午ですが、ひょっとして鈴木さんからmailがきてるかな、と思ってつなげてみました。
そこに、新しい問題があるようです。サーバーに入れるとコピー、複製ということでの著作権が、ホームページに掲載すると通信何とかが、といったように重なってくるようです。また、テキストと画像と別ファイルにすると、そこにまた著作権使用の承諾が必要になるとか。複雑になりますね。

まあ、この辺は著作権の根本である、民法の相手の利権を侵さないという基盤を考えて自分の良識で対処していくことしか模索の仕方はないということでしょうね。
それは、出版社同士のことで、著者と読者との関係はまた別です。それが同列に置かれることになるというのがインターネットの面白さではないでしょうか。

これも、上と同じですが、出版権の場合はより利権がはっきりしたものですね。
商業出版されたものをHomePageに掲載するときには、それが非商業的なものでも、ひと言いっておくというのがいいと僕は思います。
もともとはオリジナルな作品をHomePageで見せるのがいちばん読者にとっても面白いところだと思いますが、出版されたものを一冊、全部載せる場合は(これはコピーの場合もそうですけど)介在したところに著作者の意思を確かめたうえで、言っておくほうがいいという考え方を僕はします。
著者が自分のHomePageで、出版と同時的に全部公開している場合もあるようですが、この場合も出版社との話し合いがもたれていると思います。

まあ、でもこういうのはどちらかというと特殊な例に属するのではないでしょうか。一冊全部、商業的にアクティブな本をHomePageに載せるというのは。
鈴木さんの電子図書室は、とてもすばらしい試みで、僕なんかもやってみたいとは思います。初めの意識としては著作権のなくなった古い文書でしょうけれど。

では、また。

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E-mail////shimirin@kt.rim.or.jp
pcs35778@asciinet.or.jp
清水鱗造(Rinzo Shimizu)
http://www.kt.rim.or.jp/~shimirin/

Subject:Re: 2/1のことですが。
Date:Thu, 30 Jan 1997 00:52:53 +0900
From:srys@m1.catnet.or.jp (Yasuyuki Suzuki)
To:Shimizu Rinzo


清水鱗造様
前略 返信、どうも。
まあ、この辺は著作権の根本である、民法の相手の利権を侵さないという基盤を考えて自分の良識で対処していくことしか模索の仕方はないということでしょうね。
それは、出版社同士のことで、著者と読者との関係はまた別です。それが同列に置かれることになるというのがインターネットの面白さではないでしょうか。

これも、上と同じですが、出版権の場合はより利権がはっきりしたものですね。
商業出版されたものをHomePageに掲載するときには、それが非商業的なものでも、ひと言いっておくというのがいいと僕は思います。

清水さんは、一貫して紙の本を出版する出版社の側に立って著作権というものを考えられているようですね。
インターネット上の著作権が紙の上とは違うということをお認めにはなりたくなように感じられます。
わたしが、言いたいのは、利権と表現欲とはぶつかるところがあるということです。出版社の利権と著者及び読者の表現欲とははっきりと違うと思うのです。読者が好きな詩人の詩を自分のホームページに掲載したいと思って、著者の承諾を得たのに、出版社が駄目と言ったとき、その読者と著者は諦めなくてはいけないのですか。出版というメディアを出版社が支配していたところに、同列に著者と読者が直接参加できるようになったというのが面白いところだと思っているのです。表現と利権とは違います。まあ、わたしとしては、一方通行をいいことに、商業主義と権威の上にふんぞり返っている出版メディアは、澄んだデジタルストリームによって洗われることになればいいと願っています。
まあ、でもこういうのはどちらかというと特殊な例に属するのではないでしょうか。一冊全部、商業的にアクティブな本をHomePageに載せるというのは。

特殊でなくなることを、つまり詩人が争って自分の詩集を先ずはインターネットで発表すると言うようになると面白いなあと思うのですが。長尾高弘さんの『イギリス観光旅行』をネット上で見つけたときはとても嬉しくて、ファイルをダウンロードして、ページメーカーで編集して、自分の分と著者の長尾さんの分を製本して、著者に送ったのでした。それから、長尾さんはその『イギリス観光旅行』を本として出版されたわけですよね。つまり、流れが逆で商業的にアクティブな本というのが成立したわけですよ。そうなったとき、清水さんの言われる「健全」がやってくるのではないでしょうか。

ではまた、草々 1997年1月30日 0時53分

 ◆///// 鈴木志郎康 [Name]Sirouyasu(Yasuyuki) Suzuki
◆◆◆ [Adress]***** Tokyo, Japan
◆◆◆ [Telephone]:*****
[Internet]srys@m1.catnet.or.jp & http://www.catnet.or.jp/srys/
[Profession]Writing & Filmmaking


鈴木志郎康―清水鱗造 往復書簡('97.2.1「なまもの」のための) 目次前頁(3通目)次頁(5通目)
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