日曜に一泊旅行で箱根に行った。例のとおり、植物園の箱根フラワーセンターに寄り、写真をたくさん撮ってきた。遊山ばかりの意味の旅ではなかったが、あいまに露天風呂に横たわって流れる雲のあいだの星や月を見る、というのも珍しい経験だった。
上の宿り木の写真は桃源台のレストランでたまたま見つけ、撮影したものである。
宿り木はなんとなく「かわいい」。冬枯れした木に緑の鞠を着けているのは、いじらしくおもしろい。寄生植物特有のイメージの毒も十分許されるかわいさだと思う。そこで、高速バスの発つ前に木の下まで行って、冬の植物を愛でてきた。
風流は人事の合間である。とかく人事に侵される。人事に破壊されちゃう場合もある。逆にいえば風流との距離は、余裕の尺度かもしれない。だから、過去に見て印象に残っている風物、たとえば僕の場合は風に激しく揺れる小さな白樺の木と葉、などを思い出すとドーパミンが出るように、稀少なものとして脳に仕舞いこまれる。
この宿り木の映像はたぶん、妻の脳、僕の脳に深く仕舞いこまれるだろう。