植物、動物 その2【時計草】(1997.6.9)

植物、動物 その2【時計草】(1997.6.9)



 朝の散歩では、近所で珍しい植物を発見したりするので、最近はデジタルカメラを持って出かけることも多い。金蓮花は好きな花であるが、どうも東京の夏の暑さに参ってしまうようである。蓮の葉のような丸い葉、どこか大ざっぱな黄や赤の花、種が大ぶりなのもおもしろい。いつか軽井沢の民家の塀に、金蓮花が盛大に夏、咲いていたことがあった。涼しい軽井沢に合っているのだろう。自分で育てたこともあったが、小さく、夏の暑さにやられて秋には貧弱になってしまった。
 黄色い花をつけるエニシダが、近くの教会の庭にあったが、義祖母はフランスで黄色い花をたくさんつけたエニシダの森を見たという。
 こんな具合に思い入れのある植物はたくさんあるのだが、散歩で時計草の花を見つけたときはうれしかった。上の写真は先日の朝撮ったものである。『学生版 牧野日本植物図鑑』は中学生のころ買った。奥付にナンバリングで番号を打ってある。図鑑の絵はもちろん牧野富太郎が自分で丹念に書いたもので、絵を見ただけでも植物への愛情が伝わってくる。このなかに「とけいそう」(Passiflora coerulea L.)というのがあって、いつか本物の花を見たいと思っていた。なんといっても特徴は、花が時計の文字盤と針を思い起こさせる形をしていることである。写真の花は開いたばかりなのだろう、もっと雌しべの部分が黒くなり、時計の針のような感じになる。
 家の西側の細い地面にタケニグサが今頃の季節、勢いよく伸びている。タケニグサはまず名前がおもしろいので、どんな形なのだろう、と思っていたところ白っぽいよく見る草だった。隣の塀と壁の隙間に毎年生えるタケニグサは、ときどき僕が挨拶する雑草である。


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